現代は読書しなくていいといった風潮があるが、とんでもない、読書は必要だと著者は力説する。著者はいかに読書が人生に必須か、熱く語る。最近の物分かりの良いおじさんとは全く意識的にか、違う態度をとっている。著者はいかに読書が読む人に効用をもたらすかをいろんな点を挙げ、説明する。
書名の「読書力」という言葉は普通使わないだろう。どういう意味で使っているかを見ていると、読書力があるとは文庫百冊、新書五十冊読んだというものである、とある(p.8)。本書の多くの読者はもっと読んでいるだろう。改めて本書がこれから読書をしようという、普通は若い人であろう、読者を対象としていると分かる。本を読むのはそもそも読書が好きな人が多い。それで同好の士と語るのは楽しいから読書に関する本は売れる。少なくとも海辺で拾った石ころを楽しむ、というような題の本よりかは。(実はAmazonで見たらこのような本が出ていて、それなりの読者がいるとは驚いた。人間の関心は広い)
ただし、既に読書好きになっている人でなく、本書の想定する読者に、どの程度本書が届くか、本書を読む気にさせるか。そのために本書は若い人の読書の指導をする教師(役)にも向けられていると思った。最後に文庫百選として著者が勧める本の紹介がある。これを見てなぜこの本にしたのか、自分なら同じ作者のあの本にする、といったように楽しめばよい。
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