2025年3月5日水曜日

クロフツ『樽』 The cask 1920

イギリスの推理作家クロフツの処女作。現実的な推理小説として名高い。犯人当てでなく、アリバイ崩しを主眼にした推理小説である。

イギリスにある樽が届く。重いので船から吊り下げて下ろす際に縄が切れてしまい落下した。そのため少しだけ中が分かるようになった。人間の手のような物が見えた。それで警察に行く。連絡を受けて警察がやって来ると誰かが持ち去ったらしい。それは樽の受取人であったから渡したと。警察はこの樽の行方を追う。受け取ったのは郊外に住んでいるある画家のようだ。その男に確かめる。フランスで買った宝くじが当たって、相棒がその賞金の金貨を送って来たと言う。開けてみると確かに若干の金貨が出て来たが、女の死体も入っていた。男は驚愕し、女の名を叫んで気を失う。その後も精神が正常でなくなり入院のはめになる。

フランスから送られてきた樽だから警察はフランスに調べに行く。以前の事件で知り合った友人の警部と共に、樽が来た経緯を探る。まず女の死体が誰か分かる。その主人に会いに行く。妻は行方不明になっている。イギリスに妻かどうか確かめに行って確認する。犯人は誰か。端折って書くと、女の主人かイギリスで受け取った男か、どちらかではないかとなる。主人のアリバイを調べる。問題はなさそうだ。イギリスの男の方が怪しい。イギリスの男は女の情人であったようだ。イギリスで受取人を逮捕する。逮捕された男の友人らがその無実を証明するため弁護士を雇う。女の主人しかいないが、アリバイは鉄壁である。そのアリバイ崩しに行なっていく。(大久保康雄訳、創元推理文庫、1965)

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