2023年7月2日日曜日

横溝正史『貸しボート13号』角川文庫 昭和51年

表題を含む文庫にはその他『湖泥』『堕ちたる天女』が収録されている。表題の作品は昭和32年の発表とある。出だしが強烈である。貸しボートが東京湾に漂い、そこには二つの死体が乗っていた。女の方は中年でレインコートを着ているが、若い男の方はパンツしか履いていない。しかもこの二人は首が途中まで切られているという凄惨な状態であった。女の方は某役所の役人の妻、男の方は某大学の短艇部の部員で、資産家の美貌令嬢と婚約している学生と分かる。金田一耕助が出てきて、その大学の短艇部員に事情を聞いていく。最後に謎が明かされる。どう見ても現実的には有り得ない説明にしか思えなかった。この非現実的な種明かしを聞いて、納得したり感心したりする人が推理小説好きなのであろう。自分には全く無理であった。

『湖泥』(昭和28年)は岡山県の田舎で仇敵となっている旧家を巡る横溝らしい設定。二つの家の息子が美貌の女を取り合い、一方が勝利するが、悲劇が待っていた。行方不明になっていた令嬢は小屋で死体となって発見される。更に別の死体が出、また村にとって醜聞が分かる。最後に判明する種明かしはこれまたトリックのためのトリックといった感じしかしなかった。

『堕ちたる天女』は昭和29年の発表。ストリッパーを巡る犯罪。それも同性愛が大きな要素の話である。それに推理小説的な謎がからまう。

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