2016年12月10日土曜日

経済数学の直観的方法 確率・統計編 (ブルーバックス) 2015




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マクロ経済学編と同じ著者による姉妹編、確率統計を扱う。
まず標準偏差、偏差値から始まり、最小二乗法の説明が続く。
個性的な記述という点ではマクロ編と同様である。正直この導入部分の入門的事項の説明はそれほど説得的でなかった。
標準偏差が何か理解していない者が多いということから、著独特の方法で説明される。ただ標準偏差にしても偏差値にしても、また最小二乗法についても理解している自分からすると、こういう説明でわかりやすいのかと思った。絶対偏差(誤差)と通常の統計学の統計量の比較をしている。これで理解しやすいのか不明であった。

前編と併せて経済学の二大難解理論としてDSGEとブラックショールズ理論の説明をしている。しかしなぜこの二つなのか。DSGEは本道だろうが、ブラックショールズ?
ブラックショールズは金融というかファイナンスの一部で、むしろ実践家の勉強すべき分野というイメージがある。ブラックショールズを含めた金融工学の解説本が以前むやみに出ていた。Amazonで調べると2000年代前半が中心のようである。しかしリーマン危機やLTCMの事件などで最近ではむしろ昔懐かしい感じがする。
この疑問は序文の最初の1頁に書いてある。「ブラックショールズ理論そのものが確率統計を学ぶには絶好の題材で、恐らく文系理系を通じてこれ以上のものはないように思われるのである」

つまり著者の関心はあくまで数学的方法なのである。経済学の理論はそのため使用されているに過ぎない。著名からして「数学の直観的方法」ではないか。DSGEやブラックショールズをこの本で分かろうと思ってはいけない。それらの理論は理解している者に対して、数学部分の肝について理解を著者のいうところの「直感的方法」で説明してある本なのである。

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