2026年9月23日水曜日

ダニー・ケイの天国と地獄 Wonder man 1945

ブルース・ハンバーストーン監督、米、98分、総天然色映画。ダニー・ケイは人気のある寄席芸人で、婚約者の女と一緒に舞台で歌い踊っている。このケイが以前、殺人現場を目撃したので、そのための証言を阻止しようと、悪人どもは楽屋でケイを殺し、公園の池に捨てる。

一方ダニー・ケイの二役で、学者のケイがいる。図書館に勤める女と仲良くなり、その家に招待される。食材のサラダを買いに行った学者ケイは、店で音楽が聞こえ、声が聞こえる。それに連れられて公園に行く。そこで双子の兄弟のケイの幽霊に出会う。芸人ケイから殺された経緯を聞き、学者ケイに芸人ケイの魂が乗り移る。これで芸など出来る。しかしいつも学者ケイの中に入っているわけでない。学者ケイは劇場に行き、そこで婚約者や仲間から色々言われ困惑する。舞台に出される。すると観客席にいたケイを殺した悪人どもがいて、悪人らは驚く。

学者ケイの帰りを待っていた図書館の女は、行方不明になったケイを捜している。悪人どもは今度こそケイを殺そうと追いかける。芸人ケイの幽霊はもう学者ケイの身体に入れなくなったと言って去る。学者ケイは図書館の女の家に行き、事情を話すと相手は呆れ、信用しなくなる。しかしその後に悪人たちが学者ケイを追いかけているので、女も事情が分かった。逃げるケイは検事が観劇中のオペラの劇場に行く。そこで主役の扮装を盗んだので、舞台に出される。観ている検事にケイは歌を歌いながら呼びかける。悪人どもは舞台にケイがいるのに見て、殺そうとするが、警官がやってきて悪人どもは捕まる。ケイの証言で、殺人事件の犯人は有罪になった。その後、ケイは図書館の娘と結婚する。

2026年9月22日火曜日

松本清張『草』 昭和35年

病院が舞台の話である。語り手がいて入院している。某病院は最近流行っており、病棟も新築した。ここの院長は創立者の2代目である。その院長がある日失踪する。また看護婦長も同日にいなくなった。堅いと思われていた二人だが、駆落ちかと思われ、どこかで心中するのではないかと噂された。更に薬剤師が首を括って自殺する。語り手の隣室の男は活動的な男で、院長がいなくなったのだから、入院費をまけろと病院側と交渉を始める。その交渉相手で、この病院を切り盛りしていた、やり手だった事務長は飛び降り自殺をした。

更に看護婦長の死体が山中で発見された。院長の方は不明のままだったが、後に別の所で死体が見つかった。最後になって明かされる真相は次の通り。この病院は麻薬の取引に使われていた。それを病院長が嫌がったため消された。院長も婦長もその組織に攫われたのである。薬剤師はそれに関わっていたので自殺した。隣室の男は、組織の者で監視するため入院していたのだった。事務長との交渉はその隠れ蓑だった。事務長の自殺はそのせいだった。語り手は当局の者で、部下の社員と称する男が見舞いに来ていたのは連絡のためだった。

松本清張『濁った陽』 昭和35年

劇作家は放送局からシナリオを頼まれる。役所などの汚職で全貌が明らかになる前に、中核となる課長補佐などが自殺して犯罪がうやむやになる場合がある。最近でも某公団汚職の際もそうだった。この件について若い女助手に、亡くなった補佐の未亡人について調べてくるよう命じる。ところがその未亡人は、公団の者かと思われる連中によって、隠されているような状態だった。

これに女助手も作家も不審を感じる。更に調べていくと、役所に影響力を持つ、大物と言われる男がいて、これが補佐の自殺に関与しているのではないかとなった。推理を進めると補佐の死は自殺ではなく、その大物によって殺害されたのではないかと思われた。しかし大物には鉄壁の現場不在証明がある。

またこの大物に使われていたと思われる公団の職員、女助手が調べている際に立ちふさがった男であるが、が死体となって発見された。作家は補佐を偽装自殺に見せかけた、大物による殺害可能を証明するトリックを発見する。これに結構ページを使っている。女助手は自分を妨害した公団職員の死は、自分らが捜査していたためではないかと悔やむ。

殿方ご免遊ばせ Une Parisienne 1957

ミシェル・ボワロン監督、仏、88分、総天然色、ブリジット・バルドー主演。バルドーは首相の娘で、首相の秘書をしている男に恋している。その男はもてまくりで、他にも結婚を迫られている女がいる。首相やその政敵の政治家などと狩りに行った際、男の部屋に政敵の妻のみならず、バルドーも潜り込む。男の部屋で政敵の妻は逃げることが出来たが、バルドーは見つかってしまい、結婚を親から命じられる。

男は結婚しても、依然として他の女からもてるので、バルドーは不快になる。夫に嫉妬させてやれと、折から訪仏中の他国の女王の夫(王配)と浮気してやろうと思いつく。その王配はシャルル・ボワイエが演じており、バルドーを気に入ったボワイエは高速ジェットで、彼女をニースに誘う。そこでマフィアのボスと間違えられ騒動を起こす。またジェットでパリに戻る。バルドーの夫はバルドーが王配と浮気しており、その証拠をつかもうと女王の滞在する施設に行く。運よく王配は戻ってこられ、バルドーの夫の疑いは晴れる。女王と王配が仏を去る飛行機のタラップで王配はくしゃみをする。ニースで風邪をひいたためである。夫と見送るバルドーも同じようにくしゃみをする。

2026年9月21日月曜日

松本清張『凶器』 昭和34年

九州の田舎で冬に殺人事件が起こる。被害者は商人でこの辺り一帯を対象として、よくこの地にもやって来た男である。丸太のような鈍器で頭部を殴られ死んだ。最後に被害者が会ったのは若い未亡人で、被害者が熱を上げていたと分かった。容疑者であるが、証拠がない。

何度かその家に赴くうち、近所の者たちにぜんざい餅を振舞っている時に出くわし、刑事たちも馳走になった。凶器を捜したが見つからない。結局犯罪は未解決で終わった。3年の後、刑事は思い当たった。凶器は硬い餅だったのだ。それを自分らは食ってしまった。凶器のアイデアはロアルド・ダールの『大人しい凶器』によっている。

松本清張『寒流』 昭和34年

主人公は某銀行の支店長、融資をした料亭の女将、若い未亡人に惹かれている。自分の女(二号)にしたく思っていた。しかし入行は同期だが、今は上司になっている、女に手の速い男が女将を横取りしてしまう。主人公は更に田舎の支店に飛ばされる。これで出世の目はなくなった。書名の『寒流』は出世コースの暖流でなく、落ち目の寒流になったという意味がある。

憤懣やるかたない主人公は、上司を引きずり下ろすため、私立探偵社に、女将の逢引の実際を調べさせる。更に写真も撮らせる。これらの材料で、大物である古株の男に摘発を頼む。ところが後にその男は主人公が渡した資料は偽物だと怒鳴り、顔を潰されたといって大金をせびる。実は相手からも金を取り、主人公からもまたふんだくったのである。主人公は探偵社の男と打合せ、上司を潰すため、高級車を泥棒したように見える工夫をする。警察がそれを発見したところで小説は終わり。

2026年9月20日日曜日

松本清張『証言』 昭和33年

主人公は丸の内に勤める課長、二号を囲っている。そのための家が西の方にある。会社と自宅の通り道ではない。この二号宅に行っていて、そこから帰る時、自宅の近くに住む保険員に会った。相手が頭を下げたので、ついこちらも下げた。なんであんな所にいるのだろうと思った。

後から保険員が殺人事件の容疑者にされていると分かった。事件は遠く離れた東の方で起きた。容疑者となった保険員は、近所に住む課長にその時間に西の方で会ったと主張し、それが通れば現場不在証明になる。しかし課長は警察に対し、それを否定する。言ったら自分の二号について話さなければいけなくなるからだ。しかし、二号に若い恋人がいて、その恋人に二号が真相を告げたため、その恋人から警察に通報し、あっさりばれてしまう。短篇だから簡単に済ませている。本編を元にした映画『あるサラリーマンの証言』では、更に後半に話を追加し、全体として面白い話にしている。