2026年2月18日水曜日

サブスタンス The substance 2024

コラリー・ファルジャ監督、仏英米、142分。デミ・ムーア主演。ムーアはかつては人気女優で,50歳になった今までテレビのエアロビクスダンス番組をやってきた。しかしたまたま耳にした、製作者のもう歳だから止めさせようという意見に衝撃を受ける。

配達された手紙によれば若返りが出来る薬があると言う。初めは無視していたが、それを見直し申し込む。ある建物の中の部屋に行くと自分の番号の引き出しがあり、そこに紙箱があった。帰宅し、出して注射する。すると強烈な経験をし、ムーアの背中が割れて、そこから若い女が出てくる。これが若返ったムーアであり、交替してその身体を経験する。若い女はスーと名乗り、たちまち人気が出て、新しいエアロビクス番組はヒットする。ムーアは自分の身体に戻った時、スーの活躍ぶりを見る。

評価されたスーは特番の司会者に抜擢される。忙しくなったスーは指示通りの身体を交替するための諸手続きを怠る。ムーアの身体は老化が進む。スーのずさんな管理のせいで、すっかり老婆になる。このスーを終わらせようとムーアは決めるが、最後に止める。しかし起き上がったスーは、ムーアが自分を殺そうとしていたと知り、ムーアに暴力を奮い最後には息を止める。その後テレビ局に行ったスーは、自分の身体に異変が起きていると知る。帰宅するがスーは怪物になる。それを隠してテレビ局に行き特番で現れる。その怪物ぶりを見せ、血を吹き出して場内の観客に浴びせかけるので大混乱に陥る。最後に怪物から分離したムーアの残骸は、ハリウッドの舗道にある自分の星印のところに行き果てる。その血の跡は後で清掃車が綺麗にする。

2026年2月15日日曜日

不思議の国のアリス Alice in wonderland 1933

ノーマン・Z・マクロード監督、米、77分。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の映画化のうちの一つ。アリスは部屋の鏡の前に立ち、その中に入る。鏡の中の部屋は、凡てが反対になっている。このあたり『鏡の国のアリス』かと思ってしまうが、その家を出て庭に来ると服を着て急いでいる兎に出会う。不思議の国のアリスの世界になる。

兎を追って穴に入る。落ちた後、下の部屋で大きくなったり縮んだりするところ、その特撮が戦前なので変わっている。原作を元にした映画が続くが本映画では、ケイリー・グラントとゲーリー・クーパーが出ている。メイクアップのせいでそのつもりで見ないと分からない。この二人の有名俳優が出ているところが本映画の特徴か。

2026年2月14日土曜日

未亡人の殺人計画 A blueprint for murder 1953

アンドリュー・L・ストーン監督、米、76分、白黒映画。ジョゼフ・コットンの姪が正体不明の病気で亡くなる。数年前の兄の死と似ていた。その兄の妻である義姉は、義理の子供である二人の子供の面倒を見ていた。今一人が亡くなり、幼い弟だけとなった。姪の死についてコットンの友人夫妻は毒死ではないかと疑義を述べる。

死体を調べるとストリキニーネの反応があった。もしかしたら、亡兄の死も同じではなかったのか。それなら義姉が容疑者となる。残された子供が共に死ねば財産が一人占めできる。この疑いにコットンは悩む。義姉は残された一人息子をヨーロッパに旅に連れていくという。旅先で殺そうとするのではないか。自分を慕う甥を心配したコットンは同じ船に乗り、二人と旅を共にする。

義姉の鞄の中の薬を見たら毒薬と思われる錠剤が2,3入っていた。それを取り出す。義姉と一緒になった時にこっそり、相手の酒にその錠剤を入れる。義姉が飲んだ後、殺したのはあなたではないかと、コットンは自分の予想を言う。今、錠剤を入れたから助かるためには早く白状して治療を受けろと言うが、相手はなんともない。証拠のため居合わせてもらった刑事も拍子抜けして、コットンともども部屋を出る。自分の疑いは誤っていたのかとコットンは悩む。しかしすぐ連絡があり、義姉は医師に連絡し、すんでのところで助かったと。やはり犯人は義姉であった。義姉は裁判にかけられ、コットンは甥を引き取る。

ルチオ・フルチの新デモンズ Demonia 1990

ルチオ・フルチ監督、伊、88分。中世、修道女が多くの者に捕えられ、磔になり殺される場面から始まる。現在のカナダに飛び、交霊会で一人の女が気を失い倒れる。修道女の磔の幻想を見ていた。その女も一員である考古学者たちは、シチリアの遺跡発掘に行く。そこにある修道院の廃墟では壁の奥に部屋があり、磔の跡と知る。土地の者たちは発掘を忌み嫌う。

別の考古学者に確かめると嫌がらせをされたと言う。その考古学者は何者かに殺される。また発掘隊の二人の男は修道院跡で、落ちて串刺しになって死ぬ。また別の一人は股裂きに会い、身体が二つに引き裂かれる。女の隊員は土地の女から誘われ、過去に起きた修道院での修道女らの惨劇を教えてもらう。修道院跡で発掘隊員らがいる時、町の者が大勢おしかけ、奥の部屋の十字架に死んだ修道女を見る。火をつける。燃える。その下には女隊員が倒れて横たわっていた。

2026年2月12日木曜日

中野重治『五勺の酒』 昭和22年

中野のこの短篇は戦後の状況のもと、語り手の中学校校長が知り合いの共産党員に宛てて書いた書簡の形式になっている。共産党の行動を促すというか、共産党に質問するといった内容である。例えば、昭和天皇が戦後、一般国民に身近に接した際の挿話を取り上げて、共産党員に対応を聞くなどがある。

また自分の身内の兵隊が死んで、妻は未亡人となった。それは悲劇であるが、もっと悲惨な例があった。ともに容姿が優れていた夫婦のうち、夫は帰省できた。しかし傷によって二目と見られぬ容貌になっていた。今後の夫婦生活の苦労を思いやると、死んでしまった方がよかったかもしれないという。

『大江健三郎 柄谷行人 全対話』講談社 2018

「中野重治のエチカ」(1994)、「戦後の文学の認識と方法」(1996)、「世界と日本と日本人」(1995)の3対話を含む。

日本の戦後文学について、これまで外国に評価されてきたのは、日本の美を感じさせる、外国人が期待するところの日本的な、外国にはない、美を感じさせる文学であった。特に三島由紀夫については明瞭である。確かにここでは名が挙がっていないが、良く外国に翻訳されててきたのは、川端にしろ谷崎にしろ、極めて日本ならではの美を感じさせる文学であった。それを大江の小説は、日本文学で初めて日本と意識しない普遍的な文学であると、外国人に言われたという。日本という国の文学でありながら、普遍的な文学をたてる必要があるという主張である。

2026年2月7日土曜日

木村幹『国立大学教授のお仕事』ちくま新書 2025

著者は神戸大学国際協力研究科の教授である。神戸大に30年以上勤めており、自分の職業である大学教授がどんな毎日を送っているか、仕事をしているかを書いた本である。

昔と比べ予算は減り、それで教員数も設備もままならないが、学生数は変わらない。また時代の変化に伴って多くの業務が増えている。それでお金がないからどうやって資金を集めるかの苦労が多い。また過去に独立行政法人となって国立大学がどう変わったかの記述がある。学長の権限が強くなったそうだ。神戸大学は国内の大学の中でも上位にある大学であろう。その実情の一例であり、他の大部分の大学ではもっとひどいのであろう。