2026年5月28日木曜日

リラの門 Porte des lilas 1957

ルネ・クレール監督、仏、94分、白黒映画。リラの門はパリの下町、主人公は怠け者であり泥棒もするような男で、親友の芸術家(音楽家)といつもつるんでいる。連続殺人犯が逃げてきたと連絡が入り、人々は怯える。その殺人犯が銃を持って芸術家の家に入ってきて、地下室に逃げる。主人公は人を売るのは嫌だと言って警察に通報しない。警察が捜しに来ても匿って殺人犯を保護する。殺人犯の言いつけで恋人の家に行くが、女は犯罪者は嫌だと言って協力を断る。殺人犯を逃がすため、芸術家のパスポートを作り、その写真を変えて国外に逃がすつもりだった。

知り合いの酒場の娘がたまたま、殺人犯に会って好きになる。娘は親をだまし、殺人犯と付き合うようになる。主人公は娘も好きであり、殺人犯も逃がしてやるつもりだった。殺人犯が逃げる時に娘に言付けを主人公に頼む。娘は金を渡し、自分も後から行くと殺人犯に主人公を通して伝える。殺人犯は金だけ貰えばよく、娘は捨てるつもりだった。それで主人公は怒り、殺人犯と格闘する。銃声がして殺人犯の方が殺された。

アナタハン The saga of Anatahan 昭和28年

スタンバーグ監督、大和プロダクション、92分、白黒映画。昭和19年から26年まで、南洋アナタハン島(サイパンの北)に取り残された女一人(比嘉和子)と男30人あまりで、女の取り合いが起こった出来事を元に映画にしている。

俳優は日本人なので日本語を話すが、説明の英語が常に流れる。比較的事実に忠実に作ったと言われるが、それ故に見ていてあまり面白くない映画である。

2026年5月26日火曜日

青い日記帳『いちばんやさしい美術鑑賞』ちくま新書 2018

著者は美術の専門家でないと言う。しかし永年美術鑑賞をしており、美術館に行ってそこにある作品をどう見るかの手ほどきをしている。『絵を見る技術』(秋田麻早子)がまさに絵を見る技巧を教えているのに対し、本署は絵を見る態度、心構えを説いている本と言える。

美術館に行って見るのを前提としているので、日本の美術館にある作品を取り上げている。絵ばかりでなく、工芸品や陶磁器なども取り上げ、西洋、日本、中国と多くの地域の作品が対象である。美術館とどう付き合うかについても解説があり、実際に美術品と向き合う手立てを教えてくれる本である。

2026年5月23日土曜日

リンカーン Lincoln 2012

スピルバーグ監督、米、150分。アメリカ大統領リンカーンの、南北戦争時を背景にした映画。1865年の初めから映画は始まり、戦争はこの年終わるが、まだ奴隷の扱いについて意見がまとまっておらず、憲法修正のための政治的駆け引きが延々と続く映画である。南北戦争やリンカーンについてあまり知らない者は、映画そのものが良く分からず面白くないだろう。

それで南北戦争やリンカーンについて勉強を始める者がいたら、そういう機会を作るのが本映画の貢献と言える。リンカーンは歴代の米大統領の中でも一番評価が高く、米にとっては英雄なのだろう。だから米国民が本映画を見る態度は他の国民とかなり異なっているのでないか。

日本で政治家の英雄と言えば、かつては豊臣秀吉が一番人気であったが、最近は晩年の朝鮮半島侵略以外何も語られなくなっている。革命児のように言われていた織田信長は、今の歴史家の評価では創造性ゼロの凡将だそうで、革命的などと言ったら笑われるらしい。前の戦争で敗戦となり、進歩派が支配的となったので、戦後の保守政治家は誰も評価されない。

トイ・ストーリー2 Toy story2 1999

ジョン・ラセター監督、米、92分。ディズニー、ピクサーの漫画映画。カウボーイの人形は片腕が取れそうになり、子供の母親に捨てられそうになる。その時、玩具収集家の男がカウボーイを見つけ、持っていく。専門家に頼み修繕してもらう。男はその他の玩具と一緒に日本にあるという玩具博物館に売りに出すつもりだった。

カウボーイが元いた家では、カウボーイがいなくなったので、みんなで捜しに行く。カウボーイは他の玩具と話していた。子供が大きくなると捨てられてしまうだけだから博物館に行かないかと誘われる。カウボーイもその気になる。みんなが苦労して助けにやってきた。カウボーイは売られる予定の他の玩具人形に一緒に行こうと誘う。しかし爺さん人形だけは反対する。最後は捨てられるだけだと。その爺さんの反対を押しきり、また売るつもりの収集家の手から逃れるのが後半の展開である。最後は元いた家に戻れる。

2026年5月22日金曜日

立花隆『死はこわくない』文春文庫 2018

著者が書いた死に対する論考や対談、講演を集めた本。著者は若いころは死がこわかったというが、今はそうでもないと言う。死とは眠っていく過程と同じであり、いい夢を見ようと思っていれば怖くないとか。死を理屈で考えると死んだらゴミになるという理解である。ただ感情的な自分の心持は理屈とは別の次元の話である。

理屈だけ言えば自分が死ぬとは確かに一切の思考も感情も、つまり自分自身がなくなってしまうわけだから、怖い。しかし自分の気持ちを落ち着けるための、死への理解なら自分が納得できるもので構わないと思う。

映画史特別編 選ばれた瞬間 Moments choisis des histoire(s) du cinéma 2002

ジャン=リュック・ゴダール監督、仏瑞、83分。ゴダールの映画史は、ゴダールが1978年、カナダで行なった映画についての連続講義が元になっている。これは現在では文庫で出ている。(ちくま学芸文庫)映画史とあるが、19世紀末以来の映画の史的展開ではなく、映画論というべき内容である。更に映像化されており、全体で全8章、DVD五枚組として発売されている。本DVDは一枚の84分で、全体からすれば、まさに瞬間といえる。

映像は映画からの引用、例えば初めの方で『狩人の夜』からの引用があって、これが一番長く、後の映画からの場面はもっと短くなっており、静止写真も多い。それらに字幕がついて、また語りが入っていて、随分せわしない映像が続く。何やら議論していたり、映画ばかりでなくマネやクリムトの絵が出てきたりする。何しろ映画だから見ている方が理解できなくとも、どんどん映像は進み、終わるとようやく終わったかという感じだった。

先に書いたDVD五枚組の全体は見ていないので、それとの比較や感想は言えない。文庫は以前買って読んだのだが、厚いし、内容も簡単でない。ただ活字だから今回のDVDと違い、意味が取れないと先に進まない。最後まで読み終えたか覚えていない。本DVDに対しては上に述べたように、自分では良いとか悪いとか評価できない。ただゴダールの映画である、ゴダールに関心があれば見たらと思う。