2026年4月15日水曜日

殺人者を消せ 昭和39年

舛田利雄監督、日活、94分、総天然色、石原裕次郎主演。裕次郎はサラリーマンであるが、毎日の決まりきった生活にうんざりしている。東南アジアで戦争をしているので、それに参加したいと思っている。東南アジア行きの船に密航で行こうとしたところを捕まって降ろされる。それを見ていた海運会社の課長は驚き、裕次郎の入っているブタ箱に面会に行く。裕次郎に次のような条件を持ち出す。

東南アジアに行かせてやる、その費用は持つ。ただし条件として、ひと月会社の社長になってくれないかと。見せられた次期社長の写真は裕次郎にそっくりである。社長、副社長とも事故死し、アメリカに行っている次期社長は帰国が遅れる。重役連は会社を乗っ取ろうと画策している。それで次期社長が帰国するまでの間、社長になりすましてくれないか、という頼みだった。裕次郎が社長として会社に乗り込む。重役連は実は前の社長と副社長を事故に見せかけ殺し、裕次郎も殺そうと企む。また次期社長には婚約者の十朱幸代がいて、十朱は次期社長の性格が以前と全く変わっているので、いぶかしがる。

重役連の企みは失敗し、逆に重役連が次々と死を遂げる。最後はヨットに乗ってここで真相が分かるのだが、課長が重役連を殺していたのだ。前の社長らと共に、課長の愛人も死んだからでる。重役連は凡て殺される。しかし課長は裕次郎のような能天気の男を憎んでおり、殺そうとしたが逆に自分が事故死する。十朱は裕次郎の正体を知ったが、かえって裕次郎のような悪人が好きだと言って迫る。裕次郎は飛行機で飛び立つ。隣の席には十朱が座っていた。二人は東南アジアの戦場でなく、スイスに行ってそこで結婚式を挙げる。

2026年4月14日火曜日

アクセモグル、ロビンソン共著『国家はなぜ衰退するのか』 Why nations fail? 2012

発展する国家といつまでも低開発のままいる国家の違いはなぜか。なぜ発展できたのか、また他の国家はなぜできないのか。この疑問に取り組んだのが本書である。従来から文化的要因、地理的要因などが挙げられてきたが、著者らはそれらを退ける。ここで著者が要因としてあげるのは、政治経済法制度が包括的か収奪的かの違いである。

収奪的制度では首長が自分の利益しか考えず、国家を成長させる技術や制度があっても採用しない。それに対して包括的制度をもつ国家とはあまり聞かない用語であるが、国家内の個人や企業に自由に利益を追求させ、それを保障するような市場、法制度の整っている国家である。それにはまず中央集権国家でなくてはならない。部族等が互いに争っているような国家では無理である。著者らは自分たちの主張を実証するため、多くの数量分析を行なったそうである。ただここでは数理的な記述は一切なく、歴史記述で説明していく。この歴史記述は本書で最も量を占める。歴史書と呼んでもいい。収奪的な制度は、まず初期に国家の発展をもたらすかもしれないが、永続しないという。そうなら中国の発展は続かないとなる。(ハヤカワノンフィクション文庫、鬼澤忍訳、2016年)

2026年4月13日月曜日

蓮實重彦『映画夜話』リトルモア社 2025

蓮實重彦による、映画館(渋谷シネマヴェーラ)で行った講演の記録である。同映画館で上映した(する)映画についての情報をあれこれ説明する。また映画人(吉田喜重、岡田茉莉子、倍賞美津子、監督の鈴木則文、評論家の山根貞男ほか、との対談、鼎談もある。講演であるから分かりやすい文である。蓮實の薀蓄が聞かれる。

2026年4月11日土曜日

突然の恐怖 Suden fear 1952

デヴィッド・ミラー監督、米、110分、白黒映画、ジョーン・クロフォード主演。クロフォードは脚本家。自分の劇を見ていて、男役が女にもてそうもない面をしているので交替させる。後にそれを気にする。列車の中で男と再会する。意外とよい男と思われた。付き合い結婚する。

しかし口述用の録音機に、男は知らずに情婦との会話が録音された。クロフォードは後になってそれを聞き、男が自分を騙し、殺して財産を奪おうとしていると知る。気が動転するが、なるべく男の前では平静を装うとする。

計画を立てる。男と情婦を騙しておびき寄せ、男を射殺してその容疑が情婦にかかるようにさせるものであった。しかし実際にその場になるとクロフォードは男を撃てない。逃げるが、男はクロフォードに気づき車で追ってくる。クロフォードは情婦と同じ格好をしていた。男は間違えて情婦に車をぶつける。情婦は死に、男も車が転倒して死んだ。

2026年4月7日火曜日

サスキンド『Growth』 Growth 2024

イギリスの学者による成長論。まず過去の経済成長を概観する。人類の長い歴史の間、成長しない時期がほとんどだった。成長が始まってからその成長要因を解こうとする試みがなされた。数量的に経済を計る手段がなければそもそも議論ができない。それで発明されたのがGDPである。GDPが出来たのちはその値、変化率(成長率)を第一と考えるようになった。

経済成長のみに関心があっても解決できない問題がある。それどころか成長によって、その代価として様々な問題が出てきた。気候破壊、不平等の拡大が生じた。技術の発達は従来の雇用への脅威、大企業への集中の他、政治決定まで影響が及ぶ。自由貿易、グローバル化はコミュニティを破壊したとある。こういった代償が生じたからと言って、著者は脱成長論者には組しない。「経済成長が消えたならば、それが意味するのは悲惨以外の何物でもない」(本書p.203)成長論で、昔は外生変数だった技術進歩はアイディアによって説明されるようになってきている。このアイディアを広める方策について言及する。ただ著者の基本的態度は「さらなる経済成長をするのか、それとも人間が大事にする経済以外のものごとを守るか、二つに一つかだと迫られて、圧倒的に前者を選んできた」(本書p.261)という、これまでの選択を批判する。

技術進歩の方向性を変えて、経済成長の性質も変えていけるとしている。成長だけで問題は解決できない。成長と環境、現在と未来、どちらを優先すべきか相反関係にある。政治の場での議論が必要で、それは政治家任せというのではなく、昔のギリシャの集会のようなもの、そういう場で検討が必要であろう。(上原裕美子訳、みすず書房、2025)

2026年4月5日日曜日

事件記者 時限爆弾 昭和35年

山崎徳次郎監督、日活、49分、白黒映画。すりの女がすった物の中に、今夜10時爆破するというメモがあった。女は警察に電話するが、相手にされない。その夜10時に貨物船が爆発し沈没した。乗組員の一人が死んだ。警察は女すりを捜す。女すりは自分がすった男をよく覚えているという。

爆発した貨物船の積み荷について記者たちは会社を回る。その中のある会社が価値のない積荷を高価と申告し、保険金を騙し取ろうとして、悪党に爆破させたのだった。広告を出して、女すりにすった男を会わせ捕まえようと警察は目論んだ。しかし警察が関係ない男に関わっているうちに、女が悪党に捕まえられる。女は悪党の隠れ家から逃げてきた。

保険金を騙し取ろうとしていた会社は、危なくなったのでトンズラしようとする。爆破をしかけた悪党が金を要求するので、会社の連中は銃で殺す。死ぬ前に悪党は逃げる連中の乗った船に爆弾をしかけておいた。警察がやってきて船との間で銃撃戦をしているうちに船は爆破する。

2026年4月3日金曜日

『ジャンヌ・ダーク』 Joan of Arc 1948

ヴィクター・フレミング監督、米、145分、総天然色、イングリッド・バーグマン主演。当時33歳になるバーグマンが、13歳で神の声を聞き、18歳で兵士として戦い、19歳で処刑となったジャンヌを演じているので、それが話題(というより批判)になってきた映画である。

これは田舎で少女として育ち、神の声を聞き、皇太子に会いに行く算段をし、軍隊を率い戦闘し、捕まえられ裁判になり、処刑されるという全生涯を収めているので145分でも描き切れない感はでてくる。それに基本的に史実に忠実に作ってあるので、面白おかしくする演出などはできない映画である。ジャンヌ・ダルクは史上最も関心のもたれる女の一人であろう。先に書いたように詰め込みすぎではあるが、ジャンヌの生涯について概観するのは良い映画と思われる。