2026年10月28日水曜日

できごと Accident 1967

ジョゼフ・ロージー監督、英、105分、白黒映画。ダーク・ボガードはイギリスの大学の教師。映画はボガードの家の近くで、自動車事故が起こる場面から始まる。車が転倒したのである。乗っていた二人のうち男は死に、女をボガードは家に運ぶ。警察が来た時もボガードは女が同乗していたとは言ない。映画は時間を遡る。ボガードの教え子に、オーストリアから留学に来ているジャクリーヌ・ササールがいる。教え子に男の学生がいて、ササールが好きだと言う。いつの間にか二人は付き合うようになっており、大学内の川にボートで一緒にいる。ボガードも誘われ、乗るが後で川の中に落ちる。ボガードは二人を食事に自宅に誘う。

その日になってたまたまボガードの同僚の教師も来る。活動的な男である。テレビにも出てる。ボガードは自分もテレビに出るように言われていると言う。ロンドンに行く。予定の男には会えなかった。帰りに別れた、かつての妻と出会う。二人は寝る。遅くなって自宅に戻ってくると、同僚の教師とササールが同室にいたと分かる。初めて会った時から二人は好き合ったらしい。ササールは男の学生と婚約する。ササールが運転し、婚約者の男と一緒だった時に事故が起きたのである。ササールは帰国すると言う。同僚の教師は驚く。

2026年10月26日月曜日

かわいい女 昭和34年

斎藤武市監督、日活、70分、白黒映画、中原早苗主演。中原は新婚旅行に行っても、夫を拒む。中原は銀行に勤めているが、夫の方は専業主婦になって自分だけに仕えてもらいたいと思っている。自分の妻を自分の思い通りにさせたいと思っているのである。中原が夫に従わないと、男がいるのではないかと勘繰る。自分を型にはめようとする夫に対して中原は抵抗し、夫婦の仲は険悪になる。

自殺未遂を起こす。遂に夫はガス自殺を図って、中原は助かったが、夫は死ぬ。この無理心中事件を雑誌で取り上げようとし、元々夫婦の仲を取り持った大坂志郎が調べる。初めは断ったが、心中に疑問を持ったからだ。中原の夫に、部下が結婚式の仲人を頼む。夫は承諾した。その夜、自殺する人間が仲人を承知するだろうかと新婦が疑問を持つ。それだけでなく、中原が若い男と連れ込み旅館から出てくるところを目撃したという。

大坂は中原と親戚関係にあったので、中原に直接尋ねる。中原は否定するが、調べるとやはり若い大学生と関係を持っていたと分かる。大坂が問い詰めると中原も認め、大坂と関係を持っていいようになる。その後、中原が出した酒で大坂は倒れ、中原はガスで殺そうとする。しかし扉の鍵が見つからず、中原も閉じ込められた。その時警察が来て大坂と中原を助け、病院に大坂を運び、中原には手錠がかけられていた。

召使 The servant 1963

ジョゼフ・ロージー監督、英、112分、白黒映画。若い貴族階級の男は、召使としてダーク・ボガードを雇う。いたく有能な召使で気に入る。しかし主人の婚約者は、ボガードを嫌う。ボガードは妹を呼び、女中として雇ってもらう。その妹は主人を誘惑し、関係に陥る。主人と婚約者が帰宅すると、主人の部屋に灯りがついている。ボガードが妹と寝台でふざけていたと分かる。妹でなく、婚約者だとボガードは答える。主人は出ていけと二人に怒鳴る。

しかしその後、酒場で主人に会ったボガードはまた雇ってくれと頼む。雇うともうボガードは召使でなく、対等の立場になって主人に乱暴な物言いをする。とうとうボガードの方が上に立ち、主人は堕落し果てる。

2026年10月25日日曜日

尾藤正英『日本文化の歴史』岩波新書 2000

ここで述べられる日本文化の歴史とは文学や美術、建築、芸能といった、例えば家永三郎『日本文化史』(岩波新書)のような内容の歴史ではない。文化人類学の文化に近い概念とある。マルクス主義は今は流行らないが、マルクス的用語でいえば上部構造といえようか。

日本思想といえば、思想そのものを論じるように聞こえるが、ここでは歴史を動かしていった、その背後にある考えや宗教を論じている。歴史といえば、こんなことがあった、政権はこのように変わっていったという、事実だけを追っていてもそれで様になるかもしれないが、実際に歴史を動かしたのは、当時の人々であり、どんな思想、意図があったのか、それを知れば理解が深まろう。

2026年10月20日火曜日

海女の岩礁 昭和33年

森永健次郎監督、日活、82分、白黒映画。海女たちがいる漁村。そこに東京に行っていた筑波久子が帰ってくる。仲良しだった香月美奈子は大歓迎して迎える。筑波は東京で女優をしていたというが、故郷でまた海女に戻りたいようである。香月の恋人が二谷英明で、じきに結婚する予定だったが、二谷は筑波に惚れこみ、結婚を迫る。二谷は後に香月にそれを打ち明けると、香月は怒り狂い、筑波を非難する。

東京からおかしな連中が乗り込み、初めは海女を対象にした映画を撮りたいと言うが、低俗な映画のようである。またそのうち一人は東京時代の筑波を知っており、筑波の素性を漁村の者たちに暴く。連中は筑波を連れて帰るつもりでいたので、二谷と喧嘩をする。香月は筑波に、二谷を諦め、東京に戻ってくれと頼むが、拒否される。

筑波が岩礁に座って歌を歌っている時、香月は猟銃で撃つ。これで筑波は死んだと思ったが、悪い連中が筑波を舟に乗せ、攫っていこうとするのを見て、香月は舟を追いかける。悪党が銃で香月を撃ち、筑波は海に入って助けようとする。その時、二谷ほか警官も浜辺に来て、悪党どもと銃撃戦をやり、悪党は捕まる。香月は銃の傷で死ぬ。最後の場面は海を見下ろす場所に香月の墓が出来て、筑波、二谷らが見守るところ。

2026年10月18日日曜日

ロアルド・ダール『おとなしい凶器』 Lamb to the slaughter 1948

ダールの短編集『あなたに似た人』に含まれている短編である。殺人が出てくる話なのであるが、このアイデアを松本清張が、短編集『黒い画集』所収の短編『凶器』で借用している。清張自身が短編集のあとがきでそう言っている。

ただダールの作品は、時間経過そのままに書いているが、清張では推理小説らしく、最後の一行で凶器を知る、という書き方である。(ハヤカワ文庫、田口俊樹訳)

脇村義太郎『趣味の価値』岩波新書 1967

趣味と言えば、例えば何かを蒐集する趣味、芸術等を鑑賞する趣味、また身体を動かす趣味、旅行が趣味など、それ自体がやる人にとって楽しく、目的となっており、生計のための生業でなく、そのために時間とお金を使っている活動、といえようか。書名を見ると、何かの趣味について、その意味合いでも検討しているのかと思ってしまう。しかしそんな本ではない。

著者は経営史が専門の東大教授であったようだ。前半は1950年に雑誌『世界』に連載したとある。その内容は、はしがきに「特殊な商品の希少価値を論じたもの」とある。目次は以下のようである。「葡萄酒の経済学」「スコッチとアメリカン・ウィスキー」「紅茶物語」「ダイヤモンドの価値」「スイスとアメリカの時計」「国際商品としての郵便切手」「美の商人たち」「ペルシャ絨毯の美」「美術蒐集家としての石油人」夫々について経済史的な記述がある。また当時の最新情報もあるが、これらは今となっては古くて意味がない。