2026年9月11日金曜日

山本有三『はにかみやのクララ』 昭和12年

書名にあるクララとはクララ・バートン(1821~1912)を指す。バートンはアメリカ赤十字の設立者であり、永年看護婦として活動した。これは雑誌『主婦の友』に連載された話で、バートンの生涯を著者がやさしく書いている。バートンの幼児時代から書かれており、幼い頃から少女の時期は、臆病でおくてな子供であったという。それが書名のはにかみやの、になっている。それが兄が重病になった時、看病し回復させた。長じて教師になり、その後、南北戦争の時から戦時の看護婦として活躍し、その後も色んな救援活動をし、またヨーロッパでは普仏戦争の際にも戦時の看護婦として従事した。いずれも先駆的な業績である。

同時期のフローレンス・ナイチンゲールは誰もが知っている有名人であるが、わが国でバートンはどのくらい知られているだろうか。ナイチンゲールに比して、知名度が劣っているのはなぜかよく分からない。今、クララ・バートンでAmazon検索したら、和書は一冊も出ていなかった。もちろん英語の本は多く出ている。山本による本書はそういう意味でも貴重である。

2026年9月7日月曜日

特捜班5号 昭和35年

野村孝監督、日活、49分、白黒映画。銀行ギャングが6千万円もの金を強奪し、車で逃走したが列車と衝突、ギャングどもはみんな死ぬ。しかし金が見つからない。これに脚の悪い男が関係しているらしい。キャバレーの支配人は悪党で、手下にそのビッコの男をつけさせるが逆に殺された。風来訪の一匹狼の男が現れ、取り戻してやるから分け前を寄こせと言う。風来坊はたまたまバーで見つけた男が盗んだ一味の一人と分かって捕まえ、その案内でアジトに行く。しかし既にビッコは殺されており、捕まえた男も支配人の手下に殺される。更に、後をつけてきた刑事を別の手下が殺していた。

支配人のところに取引先が見つかったと連絡があり、風来坊と手下が行ってみると殺されそうになり、逆に相手を倒すと、支配人の情婦と別の手下だった。こいつらが金を盗んだだろうと見当をつけ、情婦がやっている店で大金を発見する。支配人と風来坊らは取引先の外人と会う。しかし外人はだますつもりで、双方で銃の撃ち合いになる。警察が来て悪党どもを捕まえる。風来坊は特捜班5号だった。『機動捜査班』シリーズで主役の扱いだった青山恭二が風来訪の役をしている。

2026年9月3日木曜日

ブリガドーン Brigadoon 1954

ヴィンセント・ミネリ監督、米、108分、ジーン・ケリー主演のミュージカル映画。ケリーはスコットランドへ友人と二人で旅行に来たが、道に迷う。下の方に人家の灯りが見える。降りていく。民族衣装を着た者に会う。聞いてもろくに返事もくれず逃げられる。若い娘に会い、この村の名がブリガドーン、食事が出来るところは広場だと教えてもらいそこに行く。ここでも多くの者から奇妙な対応をされるが、今日結婚式を挙げる若者に、目出度い日なのでもてなされ、ビールを振舞われる。しかしこの若者が結婚する相手に、熱をあげていた他の男が不快な顔をしている。

結婚する娘の姉が途中で会った娘で、ケリーは好きになる。その娘にこの村の事情を聞くと賢人のところに案内される。賢人が言うにはこの村は百年に一度だけ現れて、その間は眠りにつき、よその者には見えない。これは魔女から守るための仕掛けだと言う。もしこの村から出ていく者がいれば、村は消滅してしまうという。あの結婚出来なかった男は、結婚式の最中に殴り込みをかけるが阻止される。男はこの村から出てやると言い、逃げるのでみんなが追う。男が村から出るとブリガドーンが消滅する。男は隠れていたが、ケリーの連れが鳥と間違えて銃を撃つと当たって死ぬ。

ケリーは娘が好きになったので、この村に残るつもりだと言う。しかし後に友人に説得され、考え直し、娘に別れを告げる。ニューヨークに帰ったケリーは文明社会の喧噪に嫌気がさし、また友人を連れてスコットランドに飛ぶ。あのブリガドーンのあった場所に行く。するとブリガドーンは再び現れる。愛があれば凡て可能の証。ケリーは娘に再会し終わり。

2026年9月1日火曜日

モダン・ミリー Thoroughly modern Milie 1967

ジョージ・ロイ・ヒル監督、米、138分、ミュージカル映画。1922年のニューヨーク、田舎から出てきたジュリー・アンドリュース扮するミリーは、街で他の女の服装を見て自分のなりが気になる。宿泊予定の女専用ホテルの前で、タクシーが止まり、客の若い女は現金を持っていないようだ。アンドリュースはタクシー代を払ってやる。その女もこのホテルに滞在予定。二人はエレベーターに乗るが、すぐに動かない。踊り子が使ってから調子が良くなくなったと言う。足で床をける必要がある。エレベーターの中でダンスを始めると動き出す。アンドリュースと若い女は向かいの部屋になる。最近、ニューヨークでは若い女の失踪事件が相次いでいた。実はこのホテルの女主人が犯人で、中国人を使って身寄りのない女子を攫っていたのだった。

アンドリュースは仕事を捜す。ある会社に応募すると、そこの社長は二枚目ですぐにアンドリュースは参ってしまう。合格し、秘書として働く。アンドリュースは仲の良くなった若い男から飛行機乗りに誘われる。向かいの若い女も同乗する。空中で別の飛行機に出くわす。着陸すると年配の婦人で、ここに住む大金持ちと知る。その年配婦人は何でも挑戦し、アンドリュースは感心する。二人は意気投合する。夜、そこの館に泊っていると、若い男の部屋に向かいの若い女が入っていく。男を気に入っていたアンドリュースはいたく失望する。ホテルに帰ってからも、アンドリュースは若い女につっけんどんになる。アンドリュースの上司である社長はたまたま、若い女を見て一目ぼれ、共に相思の仲となる。高級レストランに誘った。それなのに若い女が現れず、社長はがっかりする。実はホテルの女主人が中国人に、若い女をさらわせたのだった。

アンドリュースと若い男と社長は若い女を取り戻すべく作戦を練る。若い男が女装して、ホテルに泊り、誘拐させるという手だった。偽装で誘拐させるつもりが、若い男は睡眠薬で眠ってしまい、実際にさらわれる。中華街に連れていかれる。アンドリュースは若い男と女を捜すが、どこか不明である。たまたま他の女の真似をして煙草を吸ったが、むせかえり、それを投げ捨てると、火薬工場だったので大爆発し、火事になる。若い女は起き、アンドリュースと共に寝ている若い男を助けて逃走する。ホテルの女主人が追いかける。あの年配婦人の屋敷に来て、女主人や中国人はとっちめられる。最後に、年配婦人は実は若い男と若い女はきょうだいで自分の子供であり、金めあてを避けるためにしていたと明かす。アンドリュースは若い男と、若い女は社長と結婚する。


2026年8月31日月曜日

機動捜査班 警視13号応答なし 昭和38年

小杉勇監督、日活、76分、白黒映画、「機動捜査班」シリーズの最終作。羽田空港近くで内田良平は悪人が集金してきた金の入った鞄を奪い、悪人を殺す。後、羽田空港では米に研修に行く刑事の見送りがあった。連絡が来て死体が空港近くの水路で発見されたというので、そこに行く。

金を奪われたボスは大ボスからどやされる。ボスには張り合うやくざがあった。内田はそこの子分で、自分の親分と相手のボスを戦わせ、漁夫の利を狙っていた。内田の親分は相手のボスに殺される。親分が仕切っていたクラブのマダムと組んで、自分のものにすべく画策する。大ボスの配下の他の者も、自殺に見せかけ殺す。その妹役が松尾嘉代で、内田は松尾に近づき交際する。これを知ったクラブのマダムは内田が自分の物だと思っていたので、怒り、松尾にお前の兄を殺したのは内田だと告げ、内田の敵に回る。

大ボスや相手のボスがマダムと共に内田に迫るが、内田はそれらを倒し逃げる。丁度、警視庁の車が内田を捕まえに来たので、内田は刑事らが降りた隙に、パトカーを乗っ取り逃走する。警視13号(パトカー)応答せよと警視庁が呼んでも無視して逃げる。警察が追う。多摩川河川敷で、内田と刑事らによる銃撃戦がある。最後は泥だらけになった内田を逮捕する。上の鉄橋をこだま(東京大坂間を6時間で結んだ当時の最速列車、この映画の翌年に新幹線が開通)が通り過ぎる。

2026年8月30日日曜日

黒い画集 あるサラリーマンの証言 昭和35年

堀川弘通監督、東宝、95分、白黒映画。松本清張の短編集『黒い画集』の中の『証言』を元にした映画である。小林桂樹は、丸ビルにある繊維関係の会社の課長を演じる。部下の原佐知子を2号として囲っている。ある夜、2号の家から出てきたところ、路地で自宅の近所に住む中年男に出会って、挨拶されこちらも返した。自宅と遠く離れたこんなところでなぜ会ったのか。

後日、この男が殺人の容疑者とされていると分かる。小林が会った時間に離れた場所で殺人事件が起こり、その容疑者となっているのである。男は小林と会ったと言い、それがアリバイとなる筈だが、小林は警察に会っていないと言い張る。なぜそんなところにいたのか聞かれれば、2号について話さなければならなくなる。裁判の証人として出ても知らぬ存ぜぬである。男は殺人容疑で死刑を求刑される。

2号宅を引越しさせる。2号は新しいアパートに住む大学生と仲良くなる。大学生は2号の身体を求める。その際、小林が入ってきて、逃げ去る。大学生は金が必要だと言い、2号を通じて小林に要求する。小林の名、会社名まで知っており、恐喝である。しょうがなく金を工面し、払う約束をする。映画を見ていて時間に遅れた。部屋に行って見ると、大学生は殺されていた。小林は殺人の容疑者となる。最後は真の犯人が捕まり、小林も、あの中年男も釈放される。警視庁から出た小林は、家も滅茶苦茶だしと言い、人生が壊れてしまった身を嘆いて映画は終わる。

この神聖なお転婆娘 Cette sacree gamine 1956

ミシェル・ボワロン監督、仏、83分、総天然色。バルドーの父親はクラブを経営しているのだが、娘には内緒にしている。その父親が偽札事件に巻き込まれそうになる。父親はクラブで歌っている男性歌手にバルドーを連れて外国に行ってくれと頼む。その歌手には学者の婚約者がいる。

歌手はバルドーが今いる学校に行く。ダンスの練習中である。教師にバルドーの身内だと言って引き取りたいと申し出る。警官がやってきて来ているのは悪人だと教師に告げるので、仰天する。歌手はバルドーを連れて逃げ出す。警官や教師などが追いかける。歌手は車に乗せて自分の家に連れてくる。召使がいて外国の偉い人に仕えたというが嘘である。この召使にバルドーの世話を頼む。

バルドーは歌手のいない間にドジをやらかし尽くし、最後は火事を起こして家のかなりの部分を焼いてしまう。歌手の許嫁である女教師が来る。バルドーを隠そうとするが、ばれ自分の妹とか言って嘘をつく。この時、歌手がバルドーを大きな赤ん坊と言って寝台に連れて行くのだが、赤ん坊を仏語ではbebeといい、バルドーの頭文字と同じなのが笑える。この他、婚約者の授業に出ている歌手は眠って夢を見、そこでバルドーほかのミュージカル的な場面が続く。最後はクラブでハチャメチャのどたばたがあってバルドーも父親に再会し、歌手も婚約者と結ばれ幸福結末で終わる。