2026年2月1日日曜日

ちくま評論選 三訂版 2024

副題に「現代高校生のための思想エッセンス」とあるように、日本の著者たちの論考を多く集めてある。現代の、人間の、考え方の諸問題、あるいは問題として意識にのぼってこないような点について、再考を促す指摘がなされる。確かに勉強になる、新しい視点を与えてくれる論文がある。びっくりさせる文章がある。

ただその一方で、一般的に言えばその通りだろうが、現代の科学、技術の進歩がもたらす問題点を説く文章を読んでいると、正直、陳腐な感じがしてしまう。いつまでも同じ指摘が繰り返されるのはそれがまだ人々に浸透していないから、繰り返すというのだろうか。でもそのような批判は役に立っていないので、今まで変わらなかった訳である。これからできるとは思えない。これは高校生向きの論集であり、高校生ならもっと素直に感心するのだろうか。自分のようなすれっからし向きでないのだろう。

SISU/シス 不死身の男 Sisu 2023

ヤルマリ・へランダー監督、芬蘭、91分。第二次世界大戦末期のフィンランド、ドイツ軍は敗退する際に町などを焼きつくしていた。犬を連れた老人に出会う。老人は金塊を発見し、それを持っていた。ドイツ軍は老人の金を見つけ、奪い取ろうとする。この老人はフィンランド最強の特殊部隊の兵士だった。

ドイツ軍人を何人もやっつける。ドイツ軍は戦車を持ち、多くの軍人がいた。老人の乗っていた馬は地雷で爆破され、バラバラになる。老人を見つけようと兵士らが行くが次々と地雷で死んだりする。老人は川に潜り逃げようとする。追って兵士が川に潜るが殺される。川の向こうに逃げられた。後になってドイツ軍のトラックに乗り込み、兵士をやっつけ、囚人となっていた女たちを助ける。

最後に残った軍人は飛行機に乗って逃げる。老人はオートバイから離陸する飛行機に飛び乗り、飛行機の腹部にしがみつく。つるはしで穴を開け、飛行機内に入る。軍人がやってきて格闘となる。軍人を飛行機から放り出す。飛行機は落下、墜落する。後に銀行に老人がやってきて金塊をぶちまけ、高額紙幣に替えてくれと言う。

2026年1月31日土曜日

矢崎美盛『ヘーゲル 精神現象論』岩波書店 昭和11年

ヘーゲルの『精神現象学』は哲学書の中でも特に難解で知られる。そのため多くの解説書が出ている。その中でも本書と金子武蔵『ヘーゲルの精神現象学』は分かりやすい入門書として知られる。共に古い本であり、この矢崎美盛の書は戦前、昭和11年に出版されている。戦後になって復刻版が出た。

表記が旧式であるが、分かりやすいと定評がある。ただやはりヘーゲルの初心者を対象として、やさしく書かれているため、くどい、冗長であると思うところがある。古い書であるため、今なら自明のことも書いてあるというのが利点である。しかし今ならもう少し分かっていると思う箇所でよく分からないと書いてある。

さまよえる惑星 Missione pianeta errante 1965

アンソニー・M・ドーソン監督、伊、80分、総天然色。地球に天災地変が起こっている。原因は不明の惑星のせいか。調べるため、宇宙ステーションやロケットで計画を立てる。

惑星に近づく。あるロケットは、惑星に飲み込まれてしまった。もう一つのロケットでは空から惑星に、隊員たちが降りる。ここでも犠牲になった隊員がいた。底に降りる穴が開いている。そこから降りる。一人の隊員が犠牲になって他の者を助け、爆破させる。後に地球で、犠牲になった隊員の息子に父親は偉かったと告げる。

2026年1月30日金曜日

黄金時代 L’age d’or 1930

ルイス・ブニュエル監督、仏、60分、発声白黒映画。蠍の生態の説明から始まる。岩場で蠍を採っている男。海辺の岩場にはカトリックの高僧たちがいるが、後の場面では骸骨となって同じ服を着ている。ごろつきのような男たちが出てくる。男が女を押し倒して乱暴しようとするので、人々に止められ連行される。男は犬を蹴り、虫を踏み潰し、盲目の老人を蹴飛ばし馬車で去る。

貴族たちの館。寝台の上に牛がいる。窓からいろんな物を投げ飛ばす。大人と子供がいる。子供がいたずらをする。男は逃げていく子供を中で撃つ。パーティになる。飲料をこぼされたので婦人に平手打ちを食らわせる。人々から出ていけと言われる。恋人の若い女と庭でいちゃつく。演奏中に指揮者はおかしくなり、庭にふらふら出ていく。あの恋人たちのいるところに目が見えないまま行く。女は指揮者に抱きつき、接吻する。

暗闇の悪魔 大頭人の襲来 Invasion of the saucer man 1957

エドワード・L・カーン監督、米、68分。最初は白黒だったが後にカラー化された。見ると1960年代後半の『目玉の怪物』の元の映画である。つまり本映画の再映画化(少しは変えてある)が『目玉の怪物』なのである。

田舎に円盤が着陸する。そこから出てきた宇宙人(大頭だろうがあまり画面にはっきり登場しない)を、恋人同士の乗っている車は轢き殺してしまう。てっきり子供かと思ってみると化け物である。警察に事情を話すが全く信用されない。また円盤着陸については軍は知っていた。周りを取り囲み、交渉を始めようとするが何も円盤からは反応がない。

若い男が車で円盤着陸の近くに行き、宇宙人を見てこれで一儲けしようと企む。友人に話すが全く相手にされない。一人でまた戻る。その途中で轢かれた宇宙人を発見する。これを持っていこうとするが、他の宇宙人に殺される。恋人同士は警察で逮捕される。宇宙人に殺された男を轢いて殺したと思われたからである。警察署から脱走し、元の場所に戻るが、宇宙人の死体はない。車に乗る。その前に死んだ宇宙人の手が車の中に入っていて、二人は驚いて車から逃げ出す。二人は殺された男の友人に会い、その友人を連れて現場に戻る。写真を撮ろうとして灯りをたくと宇宙人は逃げ出す。しかし友人は宇宙人に連れ去られる。また軍は円盤の中に入るため、ガスで外部を焼き開けようとしていたら、円盤は爆破する。恋人たちは他の恋人同士に声をかけ、車の集団を繰り出す。宇宙人に連れ去られていた友人を発見する。

2026年1月29日木曜日

長岡鉄男の日本オーディオ史 音楽之友社 1993

著者の長岡鉄男はかつて非常に人気のあったオーディオ評論家である。この本の中にも書いてあるが、オーディオ評論家という人種はあまりいない。オーディオ全盛期である60年代以降、この本が書かれた90年頃まで同じ評論家たちが活躍していた。長岡鉄男の特色は自作派であり、スピーカーなどは自分で作る。また日本のオーディオを贔屓にしていた。更にこの人のキーワードは、コストパフォーマンスであった。ともかく自作などであまりお金をかけず、お得な製品を推薦するという立場であった。

オーディオは趣味の世界であり、かなりお金をかけて海外製品を求める人もいたし、評論家も高級製品を使っていた。しかし若いオーディオファンにはそんな余裕がなく、長岡のような現実路線がおおいに歓迎された。また自作派を越えて、当時のオーディオ評論家の中で人気があり、贔屓とする人も多かった。

この本は副題に1950~82年とあるように、ステレオLPレコードの登場からCDの登場期までを対象とする。その間に現れた、日本のオーディオ製品、スピーカー、アンプ、プレーヤーなどのカタログ写真を載せ、紹介している。技術的な記述が中心で、その辺の知識がないと十分に読みこなせない。