シーラッハ初の長編小説。ドイツの実業界の大物が殺された。犯人は直ちに自首した。イタリア人で何十年とドイツに住んでいる。これまで全く犯罪に縁がない。また被害者である高齢の実業家も過去に恨みを買うような経歴はない。
容疑者は口をつぐみ何も言わない。この事件の担当となった青年弁護士は張り切っていた。しかしその後、被害者が自分の友人の祖父であり、自分もかつて世話になった男だと知る。弁護を降りたくなったが、やはり続ける。真相は何であったか。それは第二次世界大戦時に遡る。被害者はドイツ軍の高官で、イタリア降伏後にイタリア人少女を殺していた。犯人はそのきょうだいだった。戦後になって、身内が死んだので何十年もの間、計画していた殺人を実行したのである。(酒寄進一訳、創元推理文庫、2017)
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