2024年5月28日火曜日

野矢茂樹『哲学な日々』講談社 2015

哲学者、野矢茂樹が新聞に連載した文章と後半はそれ以外に書いた哲学的随筆から成る。このうち前半に入っている国語に関する文を話題にしたい。

ここで野矢教授の意見は従来からの自分のそれと全く同じであり、うれしくなった。自分の意見を分かりやすく書いたり口頭で伝える技能は誰にも与えられているわけでない。それどころかかなりむつかしい。前々から思っていた国語と文学を別の科目にすべきとここに書いてある。国語では実用的な日本語表現の訓練をすべきである。

今までの国語ときたらおよそ意味がとりにくい文を読ませ、どれが言いたいことかを選択肢から選ばせるという問題が結構あった。つまり分かりにくい文でよいのだ、読み手に正しい読解の全責任はあるのだという考えを百年以上日本人の頭に叩き込んできたのである。自己表現など全く関心がないのだ。これが日本人が英語を使えるようにならない遠因になっている。また要約を書かせろと本書にある。これにも賛成である。読書感想文などは止めて要約を書かせるべきである。

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