デュ・モーリア原作の『フランス人の入江』の訳名『情炎の海』は、かつてこれを原作とした映画の邦題からきている。(1944年、ライゼン監督、ジョーン・フォンテーン出演)
主人公は貴族の夫人ドーナで、俗物な夫やロンドンの喧騒を逃れ、幼い子供たちとコーンウォールの海辺にある別荘に移る。ここでフランス人の海賊が付近を荒らしていると聞く。自分の領地近くの入江に海賊船を見つける。そのフランス人の船長に会う。大胆不敵で行動的であり、その男らしさにドーナは惹かれる。更に自分の別荘の家僕までフランス人の海賊の一味と分かった。元々男まさりでフランス人船長を好きになっていたドーナは男装して海賊船に乗り込む。冒険をして元の別荘に帰る。夫やその友人らが別荘にやって来る。土地の郷伸らと共に海賊を捕まえる気でいる。別荘の晩餐会でいきなり海賊が現れ、臨席の者らから金品を奪う。ドーナに疑いを持っていた夫の友人は、夫人が海賊に手を貸していると知り、ドーナと格闘になる。友人はドーナに殺された。後にドーナを助けようとした友人が海賊にやられたとみなされた。
海賊の船長はドーナを待っていて捕まる。塔の牢に閉じ込められた。ドーナは家僕らと共に船長を助ける企て、実行する。最後はドーナと船長は並んで海を見つめている。(世界大ロマン全集第2巻、デュ・モオリア、東京創元社、昭和31年)
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