探偵社の男が鉱山町に呼ばれて来る。依頼主は殺された。その父親が町を牛耳っており、ギャングらの抗争がある。一方のボスの女は金のことばかり頭にあるが、極めて印象的な女である。主人公の探偵は恐ろしく頭の切れる男で、ギャングの出方などを推理できる。警察のボスも食えない男で、主人公をいいように使おうとする。
ともかくギャングの抗争で登場人物のほとんどが殺されるというとんでもない小説である。主人公が生き延びるのは小説の主人公だからと思えるほどである。なにしろシカゴでカポネがいた当時の小説である。馬に乗っていない西部劇の連中が、撃ち合いでバタバタ死んでいくようなものである。(稲葉明雄訳、世界推理小説大系第9巻、講談社、昭和47年)
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