2025年1月28日火曜日

西村京太郎『天使の傷痕』 昭和40年

主人公の新聞記者は婚約者と東京西部にデートでピクニックに行く。ところが野道を歩いていると悲鳴が聞こえる。崖の下に降りてみると男が短剣状の凶器が胸に刺さっており、「テン」と呟いて死ぬ。警察を呼ぶ。この男は後に人にたかって金をせしめる悪徳ジャーナリストと分かる。死に際のテンという言葉の意味は何か。テンとは天使を指すようだ。エンゼルという名のストリッパーやバーで天使のつくところなどが被害者と関係がある。その中の関係者を警察が追っていると事故死してしまう。

新聞記者は独自に捜査していたが、警察が見つけた証拠の一部を見て、それが婚約者に関係があると知り、愕然とする。自分の婚約者が犯人ではないか。デートに連れ出したのもそこで殺人を行ない、偽装するためではなかったのか。婚約者は白状し逮捕される。しかし新聞記者は納得がいかない。その動機が理解できない。更にそれを探っていくと婚約者の姉につきあたる。姉は結婚している。しかし表向きは死んだとなっている幼い子供がいて、サリドマイド児なため施設に入れていた。それをネタにゆすっていた男を殺したのである。(講談社文庫、2015年)

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