2025年1月13日月曜日

大下宇陀児『昆虫男爵』 昭和13年

昆虫の中には胎生の虫がいると主張する奇人の学者がいて、昆虫男爵とあだ名されている。友人の学者とその胎生昆虫を捜しに銀座に行く。いきなり通行人に襲い掛かり、瀕死の重傷を負わせ、これが昆虫だと言う。友人は男爵の精神状態がまともでないとして、高原の別荘で安静治療させる。

女芸人で昆虫の鳴き真似をする者がいたので、友人は別荘に連れてくる。もう治療を長くしているので治ったのではないかと、女芸人に虫の鳴き真似をさせて反応を診る。その場ではそれほどではなかったが、夜中に惨劇が起こる。女芸人は残虐極まりない方法で殺されているのを朝発見し、男爵は外の木で首をくくっている。男爵が女芸人を殺し、自殺したかと見えた。真相はそうでない。たまたま休暇に来ていた杉浦良平探偵と助手の影山が居合わせ、事件が解決される。これも読者宛ての犯人捜しの質問状が途中にある。

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