2025年1月20日月曜日

アイリッシュ『暁の死線』 Deadline at dawn 1944

ダンスホールの踊り子をしている女は、ある男に長時間相手をした。

切符を沢山持っているのに終わってから踊る気はなく、女にやろうとする。女はいらないと答える。男は切符を捨てる。女が帰ろうとすると男は後をつけてくる。自宅のあるアパートに戻り、窓の外を見るとあの男はまだいる。パトカーが近づいてくると男は慌てて隠れる。女は下に降りて行って、男を呼ぶ。自分の部屋に入れる。話し合っていると、なんと、二人は同郷で同じ町に住んでいたと分かる。町の思い出を語り合う。また自分らがニューヨークにやって来た訳を話す。男は告白する。犯罪で金を取ってきたのだ。工事をしていて金持ちの家に金庫があるのを偶然見つける。家の鍵がなぜか自分の持ち物に入っていた。金持ちはどこかに休暇に行く。家は空いている。鍵で難なく家に入る。金庫を見つけ壊して金を取る。大金である。レストランに入って前から憧れていた料理を注文する。来ても全く喉に入らない。レストランを出る。夜になってダンスホールに行き女に会う。

レストランのところまで来て我慢のdeadlineにぶち当たった。馬鹿馬鹿しいにもほどがある。ストーカーの男を自分の部屋に入れる?それがたまたま同郷だった!ありえない。しかも男は泥棒に入り、大金を盗むのにそれを使おうにも食事が喉を通らない。いかに男が善人であったか、犯罪とはほど遠い人間であるかと言いたいらしいが、全く呆れた。こんな馬鹿馬鹿しい本はめったにない。(稲葉明雄訳、創元推理文庫、2016)

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