死刑囚が刑務所から出てくる(脱走する)ところから始まる。実はこれは警察側が仕組んだもので、逮捕したメグレ警視は犯人でないと感じていた。ある夫人とその同居人が殺された。その犯人とされた。出た囚人はパリ中をさまよい歩く。警察が期待したほど真相は良く分からない。
夫人の財産を相続した金遣いの荒い甥がいる。また謎のチェコ人がいる。後に甥は自殺する。チェコ人は盛んにメグレをからかう。お前などに真相は分からないと。このチェコ人が犯人だったわけである。自分の頭の良さを試したく、またひけらかしかった男である。(石川湧訳、世界推理小説大系第7巻、昭和48年)
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