2024年12月11日水曜日

トーマス・オーウェン『黒い玉』創元推理文庫 2006

ベルギーの小説家トーマス・オーウェンによる怪奇短編集。

副題に「十四の不気味な物語」とあるように14の短編から成る。不気味と言えばそうだが、気味の悪い話と言ってもいいかもしれない。必ずしも日常の中にある不気味だけでなく、超常的な話もある。14の短編の中、例えば読んで記憶に残っているのは『公園』という話。公園で女が襲われた事件があった。主人公の少女はある老人を危険視していた。その老人が近づいて来た時、少女はナイフで刺した。崩れる老人。しかしその際に誰か他の者によって公園の中に引きずり込まれていた。あるいは『売り別荘』では語り手はある別荘をそこの老人に建物の中を案内される。盛んに老人はかつての妻についてしゃべる。最上階まで連れてこられる。ある箪笥の前に陣取り、それを開けさせない。語り手は死んだ妻の死体が入っていると思い込む。老人は部屋から逃げ出し、そこには妻の死体などない。老人はこうやっておびき寄せたのはお前で何人目だと扉の外から叫ぶ。こんな話が14続く。

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