2020年12月14日月曜日

福田恆存『演劇入門』 昭和56年



 評論家、翻訳家、演出者として有名だった福田恆存の演劇に関する論考を集めたもの。目次は次のとおり。

Ⅰ劇と生活/演劇の特質/劇場への招待、Ⅱ戯曲読法/ことばの二重性/シェイクスピア劇のせりふ、Ⅲ演技論、Ⅳ演出論/シェイクスピア劇の演出、Ⅴ日本新劇史概観、(増補)醒めて踊れ、あとがき

演劇とは他の芸術とどこが違うかなどについて福田の考えを書いている。福田の反対者を想定して持論を述べるという形式が多い。例えば、小説に比べ戯曲は苦手だろうという相手を想定するなどである。自分は戯曲が好きだからそういう相手ではない。演劇に関心のない者に対して、こんな良さがあるといった論である。元々こういう本を読もうとする者は演劇に関心があると思われるので、いらぬ論を展開しているようなところがある。

ほとんどの論が昭和30年前後という古い時代の執筆であり、時代の反映があると思われる。時代を超越した部分と制約されている部分の違いがどの辺だろうかと思いながら読んだ。

中公文庫、2020

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