ツヴァイクの中編小説。ホテルで真面目に見えた夫人が若い男と逃げる。夫は茫然、周囲の者は夫人をとやかく言う。語り手は夫人を弁護する。そういう場合もあると。賛成は得られなかったが、60過ぎの老婦人は関心を持ち、語り手に自室に呼ぶ。二十数年前の出来事を話し、これが小説の本体になる。以下がその内容。
夫を亡くした。息子たちは成人している。婦人はやることもなく無為の日々を過ごす。モンテカルロの賭博場である青年を見つける。賭けに負け去ろうとする青年は、自殺しそうに見える。婦人は青年の手を取り、金を渡し賭博から手を切り、思い直すよう説得を試みる。いきなり青年は婦人の手を取りホテルの部屋に連れ込む。明くる日、青年と別れた婦人は激しい恋の虜となっていると気が付く。夜、また賭博場で青年を見つける。諌める婦人に対し青年は邪魔者と突き放す。その後長い間青年が忘れられなかった。かなり経ってから賭博で負け自殺したと知る。これで区切りがついた。
女の思い、感情の動きを詳しく延々と書いている。感心した。小説そのものはあまり感心しなかったが。何度も映画化されている作品。ツヴァイク全集第2巻、辻訳、1973年
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