フランスの小説家モーリス・ルヴェルによる短篇集。収録作品は、或る精神異常者/麻酔剤/幻想/犬舎/孤独/誰?/闇と寂寞/生さぬ児/碧眼/麦畑/乞食/青蠅/フェリシテ/ふみたば/暗中の接吻/ペルゴレーズ街の殺人事件/老嬢と猫/小さきもの/情状酌量/集金掛/父/十時五十分の急行/ピストルの蠱惑/二人の母親/蕩児ミロン/自責/誤診/ 見開いた眼/無駄骨/空家/ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海、である。
ルヴェルはフランス(1875~1926)の作家で、その作風はひねっており、意表を突く、犯罪関係の話が多い。ポー、O・ヘンリー、ビアスなど混ぜ合わせた感じか。上記のいずれの作家にしても、その者だけ取り上げても似ているとは言えない。ルヴェルならではの世界である。
本書は昭和3年に春陽堂から発売された『夜鳥』田中早苗訳、という単行本からほとんどが取られている。現代仮名使い、新字に直している。言い回しや使用漢字は現在と異なっている。なお書名の「夜鳥」という作品はない。
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