2020年8月10日月曜日

ジョルジュ・サンド『モープラ』 Mauprat 1837

 


サンド33歳時に発表した長篇小説。粗野な男が純粋な女の愛情によって成長する物語。モープラはこの男及びその一族、また女主人公も親戚であり、の苗字である。主人公の個人名はベルナール、女主人公はエドメである。

主人公の属するモープラ家は田舎の圧政的な有力者だった。主人公も極めて乱暴者であった。ある日自分の一族が、たまたま通りかかった女主人公エドメを攫ってくる。暴行を意図していたが敵方の襲撃があり、主人公はエドメを助け、そこから逃げる。戦いでモープラ家の多くは亡くなった。

エドメの美しさにすっかり惚れ込んだ主人公は、何とかしてものにしたい、そういう欲望を抱く。エドメをその父の家まで送り、親戚でもある主人公は同家に留まる。何としてもエドメに気に入られたい、その心が粗野の塊のような主人公を感化していく。猛勉強する。話の途中で主人公が首都パリに行く、アメリカ独立戦争に加わるため渡米するなどの経験をする。主人公は自分のような者が、気高いエドメに好かれるはずはないと思い込んでおり、無知で野蛮な男にある劣等感に苛まれる。

小説の最後の方ではエドメは災難に襲われ、ぞの犯人として主人公が捕まり、裁判になるという展開になる。冤罪で裁判になるなどドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を思い起こす。もちろんサンドの小説の方がずっと早い。

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