フランスはパリ、グラン=ギニョル劇場という劇場で、20世紀前半に上演された恐怖演劇の集成である。劇自体もグラン=ギニョルと呼ばれた。その台本集、戯曲集である。収録は以下のとおり。モーリス・ルヴェル「闇の中の接吻」、アンドレ・ド・ロルド/アンリ・ボーシュ「幻覚の実験室」、ガストン・ルルー「悪魔に会った男」、 ウジェーヌ・エロ/レオン・アブリク「未亡人」、シャルル・メレ「安宿の一夜」、ピエール・シェーヌ「責苦の園」、マクス・モレー/シャルル・エラン/ポル・デストク「怪物を作る男」。
ここに収められたグラン=ギニョルは日本式に言えば、ほぼ大正年間に上映された劇である。古い時代ならではのおどろおどろしさがある。筋は単純、視覚的には刺激的、まるで無声映画を観ているような感じになる。現代の恐怖小説や映画のように凝っていて、込み入った筋、斜に構えた視点とは対照的である。加えて古き良き時代のフランスの劇なので、我々にはエキゾチックな魅力も感じさせる。
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