2020年8月19日水曜日

マシュー・サイド『失敗の科学』 Black Boxx Thinking 2015

 


内容は、失敗から学ぶことの重要性、また思い込みによる判断は実際の所当てにならない、逆が正しいことさえあり得る、などが書かれている。

最初の方の事例では医療ミスと航空事故の対処方法を対比する。医療ミスは外向けに明らかにされず、そのため失敗から学べない。航空事故は反対に組織的に対応し、将来の同じような危険に対応できるようになっていると述べる。本書に記されていないが、航空事故は被害が甚大で組織的に対外説明が要求されるのに対し、医療の場合は過失か、不可避の事態だったか医者以外には不明な場合が多い。それが理由ではないかと思う。

後半の記述では犯人さがしを戒めているところが共感できる。すぐに誰かのせいにしたがる者は多い。将来、同様の不祥事を招かない、が最大の責任の取り方である。特定の者の過失にしてしまえば、将来的な防止策を講じないままに終わる。それでは事故から何も学ばない。生贄の山羊捜しに終始してはいけない。

有枝春訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016

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