2020年8月17日月曜日

シーラッハ『罪悪』 2016

 


『犯罪』に続くシーラッハの第二短篇集。「ふるさと祭り」「遺伝子」「イルミナティ」「子どもたち」「解剖学」「間男」「アタッシュケース」「欲求」「雪」「鍵」「寂しさ」「司法当局」「清算」「家族」「秘密」を収める。

まず収録作品数が多いのは、短い作品が多数占めているである。現実を切り取ったというか、全部書かなくて、必要なところだけ書いてある。説明も釈明もなし。普通の短篇小説を読みなれている人には物足りない感じがしても不思議でない。しかしそこがこの短篇集の特徴なのである。

また不気味な雰囲気の小説が多い。これはドイツの現実の反映なのであろう。読後感が爽快とはほど遠い。創作であるにせよ、このような点から社会や時代を映し出しているのが文学である。酒寄進一訳、創元推理文庫、2016

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