乱歩が初めて挑んだ長編小説だそうだが、怪奇趣味が勝っている、後の諸長篇に比べてもその猟奇性は驚くばかりである。
画家の野崎は気に入った踊り子を連れて長野県の旅館に行く。踊り子は何か心配事があるようで、またその旅館も不自然な気配がある。踊り子は行方不明になる。底なし沼に落ちたらしい。
この踊り子の素性を調べる。野崎の友人の植村という男も、浅草の踊り子だった当該女を知っていた。女には進藤という胡散臭い男が付きまとっていた。友人植村も進藤も信州の旅館に来る。新藤は旅館の主人を知っているらしい。野崎が主人に聞くと新藤はかなりの悪人だという。外に出た野崎と植村は洞窟に閉じ込められてしまう。出ようと努力するが無理のようである。更に後になって、上の穴から新藤が落ちてくる。新藤から凡ての悪事は旅館の主人によると分かった。その後、三人は洞窟から脱出しようと死に物狂いになる。
飢餓に苦しむ三人は恐るべき行為に及ぶ。運よく出られた野崎は、主人を追い、最後は地獄絵となって小説は終わる。
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