2020年6月29日月曜日

ゴーリキー『どん底』 На дне 1902

ゴーリキーによる四幕の戯曲。
木賃宿を舞台にそこに住む人々が織りなす群像劇。

様々な登場人物が盛んに管を巻いているような劇であり、主人公などはいないと言っていい。山場としては、宿主夫妻の妻が夫を片付けたく、若い男に頼んで夫を始末してもらう。それは二人一緒になる約束だった。しかし夫が殺されると、妻は若い男が殺したと叫び、男が言い寄っていた妻の妹は、男と姉の罪をあばく。これで妻と男も捕まる。
またこの宿に来た巡礼のルカという老人はみんなに生き方を教え、肯定的な人物として描かれる。

非常に有名な劇であり、なぜこの劇の名が自分にとって耳慣れているか良く分からないほどである。しかし実際に檄を読んでそれほど感銘を受けなかった。
戦前にルノワール(1936)、戦後に黒澤明(昭和32年)と巨匠たちが映画化している。本書読了後、黒澤の映画を久しぶりに観直したが、これまた黒澤映画としては面白味を感じなかった。
神西清訳、河出書房世界文学全集第37巻、昭和37

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