川島雄三監督、日活、79分、96分(続篇)、白黒映画。
丹羽文雄の小説がラジオドラマ化され、更に映画化されたもの。続篇とは映画の後半といった感じで、全体で一つの話。当時は映画一本の長さはあまり長くなかったので、分けたのであろう。
三橋達也と南田洋子の恋愛物語が主であり、平行して轟夕起子、大坂志郎の関係も進む。
南田は20歳以上年上の男(小杉勇)と結婚しており、小杉は典型的な自分本位の男で、妻など省みない。ある日小杉と同業(不動産)の三橋に会う。三橋は南田をすっかり気に入り、積極的に南田に迫る。
また轟は未亡人で兄妹の二人の子供がいる(大学生を若き日の小林旭が演じる)。大坂志郎は病弱な妻がいるが、以前より轟を好いており、轟一家にも入り浸っている。子供たちは大坂が母を好いているのは知っているものの、再婚相手になって欲しくないと思っている。
徹底的に利己主義の夫と比べて、三橋に南田は惹かれる。しかし離婚して再婚は恐ろしく困難に思える。また轟は大坂を憎からず思っているが、最終的には子供のことを考え、大坂の妻の死後、大坂との関係は断ち切る。日本では子供のためという理由は、水戸黄門の印籠のごとく有無を言わせぬ。
三橋は過去の女との関係を清算し、南田も思い切って離婚を要求するつもりでいた。しかし過去の女が破壊要因となるのは若尾文子の『女の小箱』と同じである。
通俗小説であるから、嫌われ役は徹底的に不快な人物として出てくる。
この映画より三年前の『君の名は』に似ているところは、日本全国の観光地を舞台にしてその紹介を兼ねているのも挙げられる。
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