野心的な詩人リュシアンが主人公で、当時のジャーナリズムや出版界を背景として、恋愛、出世模様が描かれる長篇小説。
田舎町で印刷所の息子は、文学志望の青年リシュアンと仲がいい。印刷所の親爺は強欲で息子に対しても自分の財産を守っている。リュシアンは美青年で、町の夫人に好かれる。その仲を噂する者がいたので夫人の夫は決闘する。夫人とリュシアンはパリに逃げる。
パリではあれほど田舎で美青年だったリュシアンも服装が冴えなく夫人は離れていく。リュシアンは詩人としての願望を満足させるため出版界に近づくが現実は厳しい。芸術志望の他の青年たちと仲間になり、リュシアンはその文学才能を伸ばす機会を待った。彼の書いた批評が受け、ジャーナリズムから誘いがかかる。一躍有名になったリュシアンは、恋人となった女優と自らの虚栄と贅沢を満足させる人間になる。そのため芸術仲間から離れてしまう。自分を捨てた田舎以来の夫人もペンでやっつける。しかし贅沢のため借金をするようになり、敵となった男との決闘で負傷する。リュシアンはジャーナリズムから見捨てられ、恋人の女優も死ぬ。徒歩で帰郷をする。
田舎では印刷所の旧友と自分の妹が結婚して、誠実に暮らしていた。印刷術の革新の研究にいそしみ夢を追っていた。リュシアンの借金が旧友名義で、旧友は逮捕され監獄に入れられそうになる。リュシアンが田舎に戻ってから、かつての友人で今は法律家をしている男は、借金を利用しリュシアンや妹夫婦を陥れようとする。上辺の称賛に踊らされたリュシアンだが、義弟は牢屋に入れられ、自分は自殺するつもりで田舎を出る。途中でスペインの聖職者に化けたヴォートラン(コラン)に会い、その世話になる。
『浮かれ女盛衰記』は本書の続篇で、『幻滅』と『浮かれ女盛衰記』は合わせて読むべき小説である。
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