小林正樹監督、松竹、110分、白黒映画。
戦後、巣鴨の拘置所で収容されているB級、C級の戦犯たち。いずれも上官の命令に従ってやっただけなのに、などと収容された事実は納得できない。その中でも小沢栄太郎演じる上官が命令したのに、小沢は自分は知らないとうそぶき、その犠牲になった者がいる。ただ被害者からの観点だけではない。戦時中にやった海外での行為が映画中何度か回想される。現地の者たちへの残虐行為が映し出される。戦後の日本人は、銃後の国民に至るまで、占領軍からいかに日本軍が戦時中、残虐行為を働いたか散々聞かされていた。これは戦後の日本人の自己認識の基礎となった。たんに指導者たちに騙されていたと言ってすまされる問題でない。戦後十年も経っていない時期に製作され、公開は数年後になった。非常にイデオロギー闘争や戦争責任論が激しかった時代である。だからそれはこの映画にも反映されている。ただしイデオロギー論争だけではプロパガンダ(宣伝)映画になってしまう。
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