バルザックの中編小説。パリの貴族の館で行なわれる舞踏会。そこに奇妙な老人が時々参加している。館の夫人など少数の者しか扱えない。
語り手が招待した貴婦人に、この老人がいかなる者かを話す内容が小説の中心である。
以前、サラジーヌという彫刻家がいた。優れた才能を持ちイタリアに行った。そこでザンビネッラという歌姫に会い、すっかり惚れ込む。歌だけでなく、彫刻家の眼でみた肉体の素晴らしさ、まさにサラジーヌには理想の女に見えた。
サラジーヌはザンビネッラに迫るが相手は消極的である。自分のような者を好いてもしょうがないと。ますますサラジーヌの恋は燃え上がる。しかし最後に真相が判明する。ザンビネッラは女形、カストラートだったのである。絶望したサラジーヌはザンビネッラを殺そうとするが、その後援者の貴族の者によって殺される。ザンビネッラは、小説の始まった貴族の館の家の者で今は百歳の老人となり、舞踏会に顔を出すこともあるわけである。
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