2020年10月8日木曜日

ホフマン『金の壺』 Der goldne Topf 1814

 


E.T.A.ホフマンの中編小説。幻想的、超常的な物語で主人公の学生アンゼルムスが恋を成就するまで。

ドレスデンが舞台。アンゼルムスは市場で老婆の籠をひっくり返して恨まれる。逃げ出した後、木の上の歌う三匹の蛇を見て、その一匹に恋心を抱く。蛇は若い美女の変身である。副校長から仕事を斡旋してもらう。副校長の娘ヴェロニカはアンゼルムスに恋している。アンゼルムスは文書管理官のところへ仕事に行った。文書管理官は実は火の精霊であった。蛇に身を変えた美女は文書管理官からその娘であると知らさせる。恋に落ちた蛇は末娘セルペンチーナであった。頼まれた難しい筆写もセルペンチーナの助けによってうまくいった。文書管理官は追放された精霊で、救済にはその娘を好いてくれる男が必要で、金の壺を与えることになっていた。

アンゼルムスを自分の物にしようとするヴェロニカは、魔法の手を借りアンゼルムスにセルペンチーナは幻想であったと思わせる。罠にかかったアンゼルムスはヴェロニカを選ぶようになる。金の壺を盗もうとした老婆は、文書管理官との戦いで破れ、またアンゼルムスの眼は覚める。

ヴェロニカは枢密顧問官になった男と結婚し、アンゼルムスはセルペンチーナと結ばれる。

中野孝次訳、河出書房世界文学全集第3期第10巻、昭和40

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