2020年10月6日火曜日

アメリカン・サイコ American Psycho 2000


 ハロン監督、米、102分。クリスチャン・ベール主演。

投資会社の副社長であるベールは自分と同じような境遇の上流層の男達と付き合っている。高い店で食事し、名刺をどれくらい凝ったかを競い合うような、虚栄を絵に描いた生活を送っている。この上ない選良である。ただ精神は病んでいて、浮浪者や商売女、許せない知人その他多くの人間を残虐に殺しているのが裏の顔である。見かけを完璧にし、他人を出し抜くのが目的であるような生活を送る選良であるからこそ、傲慢この上ない歪んだ人間になってしまったのか。

映画の終わりの方ではやや混乱させるような展開になる。主人公がうまく切り抜けられたかどうか、秘書が秘密を探っているようで、それがどうなったか分からない終わり方にしている。

映画の舞台は1980年代のニューヨーク。アメリカがすさみ、復活させるべくレーガン大統領が誕生した(後からの評価だが)時代である。当時の日本はバブル最盛期でアメリカを追い抜き、世界最高の国であるかのような幻想に酔っていた。映画中、2000年までに日本の会社がアメリカを買収するような台詞が出てきて、当時の一つの回想になっている。例えば1930年代のような戦前であれば、それの再現で観客は理解できるか当然問題になるが、逆にこのようなたかが20年前の時代だと、観客は理解していないことさえ分からないのではないか。

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