過去の記事や本から、明治以降の実話を編集した本。超常的な話や猟奇的殺人事件を集めている。7編収録。
「春吉と死霊」は昭和初期、武蔵野の田舎が舞台。ある家で代々、嫁が27歳で亡くなっていた。春吉も以前の嫁は同じ歳で死去した。新しくもらった嫁は極めて若い。しかしその若い嫁は死霊であったらしいと、まるで中国の昔話か雨月物語を地で行く。
「死馬の呪い」は川沿いの僻村。娘に恋した馬が、彼女の婚礼の日に逃げ、谷底に落ち死ぬ。後、娘は殺され、その脚を口にくわえた馬が夜を駆ける。
「猫の祟り」は紀州で、拾われた猫が主人夫婦の亡くなる時には涙を流す。しかし若い嫁は猫嫌い。そのため身体の調子が悪くなる、更に猫が、後足立ちで踊る姿を見るようになる。実家へ戻る。しかし実家も一家全体が猫の祟りに会う。
「闇の人形師」は明治39年、弁慶橋内の清水谷公園で若い女性の死体が発見される。その乳房は異常な状態であった。被害者と思しき行方不明の華族令嬢を調べてもそのような異常はない。その後浅草の堀でやはり乳房関係の異様な物が見つかる。刑事が調べると、京都出身の人形師が浮かんできた。その家を探ると酸鼻極まる発見をする。最後に真相が述べられているが、小説だったらこんな話にしないだろう。あまりに非現実的だから。
「猟奇魔」は昭和6年の北海道旭川。以前送られてきた箱を倉庫で開けると女の死体。発送先の名古屋を調べても被害者さえ不明である。妹からの届け出で大阪出身の芸者とわかる。静岡の旅館の放蕩息子と一緒になったものの、男は女のカネを使い果たし、最後に殺したらしい。警察が犯人を追ってもいつも間一髪で逃げられる。しかし最後は東京の大川で水死体として見つかる。女の執念が殺させたのだろう。
「淫獣」は昭和5年名古屋で起きた猟奇殺人事件。小屋で首なしかつ身体が無残な状態の女の死体が見つかる。被害者は市内の若い女性とわかる。犯人の中年男も最後は自殺を遂げる。
「生肝殺人事件」は明治38年、信州の山村で起きた異常かつ猟奇殺人事件。一家三人が無残極まる殺され方をしていた。更に容疑者も同様の目に会う。これらの事件は生肝が病気治療に利くという迷信から肝を取り、売るためだった。
0 件のコメント:
コメントを投稿