豊田四郎監督、東京発声映画。主演は勝見庸太郎、原節子がタイピスト役で出演。
英米文学の翻訳で有名な阿部知二の代表作。零落しても見栄をはる男主人公、それに家族が巻き込まれる。
勝見演じる主演の嘉門はかつて社長であったものの、放蕩で財産を使い果たし今は守衛になっている。妻はキリスト信者で必ず食前の祈りをし、家族に敬虔な生活を説く。
子供は幼い男女がいる。生活費のたしに2階一間を大学生に貸す。嘉門は妻から窮屈な生活を強いられているので、率直に話のできる大学生と仲が良くなる。
嘉門は見栄っ張りで他人に良い顔がしたく、経済観念がない。それは他面、人が良いともいえる。彼の勤める役所の上級室の、タイピスト原と冗談を言い合い、彼女に英文タイプをしてもらう。何が書いてあるか、家に帰って大学生に読んでもらう。かなり皮肉なことが書いてあるが、大学生は適当に言って嘉門を喜ばす。
役所の人員整理で彼は馘になる。自分を送る会を催し、その費用まで自分で負担する。
娘が病気になる。入院させる必要があるが、その費用もままならない。
田舎から来た手紙を妻は隠していたが、嘉門は見つける。かつて所有していた土地が高く売れる、ただ嘉門に任せると散財してしまう、だから彼に内緒にしろという妻の兄からの手紙である。嘉門は妻に、自分を信用させる手紙を書かせる。それを持って田舎に帰る。カネは入手したものの、途中大阪で降りて遊蕩に明け暮れる。娘のため買っておいた人形まで酒場の女にくれてやる。ようやく東京に戻ったものの随分カネは減ってしまった。大学生をホテルに呼び寄せる。娘の安否を訊く。思ったより良かったので安心する。彼はカネを取り戻すため競馬場へ行く。最初は運よくかなり儲けた。手引きの男にそそのかされて、明くる日も賭ける。すってんてんになる。
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