2017年11月14日火曜日

東京の女性 昭和14年



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伏水修監督、東宝白黒映画。原節子が車のセールスに励むキャリア・ウーマンを演じる。
外車(ダッジ)の販売店に勤める原。タイピストである。知り合いが車を買ってくれるので、営業の男に伝え、成績にしてあげようとする。屋上へ男を捜しにいくと、営業の同僚と客を盗んだとの喧嘩をやっている。あさましく見えたその姿に失望し、自ら課長へ報告する。それで貰った報奨金が少ないと後で知る。課長が中間搾取していたのだ。原は怒り、家計が苦しい中、自ら営業をやって車を売り儲けようとする。

営業の男に指導を相談に行く。男は簡単にできるものでないと説教する。原は大いに発奮して整備等から始まり、車を何でも知ろうと努力する。営業の一員となる。男の同僚は冷やかし、馬鹿にし、彼女が成績を上げるようになると邪魔をするようにさえなる。
男勝りという言葉がまさに相応しい原の活躍に、かつてお互いに相思の感情があったかもしれない男もやや引くようになってくる。

原の妹が同じ会社に入る。可愛らしさとか、原と正反対の「伝統的な」女性の魅力で、社内の評判になる。上司も手を出したく思っている。あの営業の男を彼女も好いていたので、ドライブに連れて行ってもらう。

ある日原は妹を衣装ロッカーの前に呼び出し、開けろという。やむなく開けると服が一杯。誰に買ってもらったかと問い詰めると課長らしい。原はふしだらな妹を責める。そこへ営業の男もやってくる。妹はこの中には彼に買ってもらってものもあると言う。そして男への好意を口にする。
原は妹が好きなら、ということで男と妹の結婚を取りまとめる。結婚式後、新婚旅行に出かける妹夫婦。原は車を駆って東京の街中を走り回る。

キャリア・ウーマンを描いた映画としてよく挙げられる鈴木英夫監督、司葉子の『その場所に女ありて』は昭和37年の作品である。それでも今から半世紀以上前になる。この映画ときたら何十年前というより戦前の映画なのである。当時も職業婦人といって家庭外の仕事に従事する女がいた。しかしそれは家計の都合上やむなく働いていたわけであり、何よりその仕事は女性特有のものであった場合が多い。男と互角の仕事で張り合う、キャリア・ウーマンがどの程度いたか知らない。しかし多くはなかったことは確かだろう。この映画の原のような存在はほとんどいなかった、だからこそ目新しい映画に見えただろう。

仕事と結婚の二者択一が映画の一つの主題に見えないこともない。ただもっと広く、女性の自立を描いていると言った方がよいか。

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