暗闇の訪れ Příchozí z temnot 1921

 

ヤン・スタニスラフ・コラール監督、脚本によるレックスフィルム、チェコ無声映画。

古い邸に住む主人のところへ知り合いが稀覯書を持ってくる。彼はそれに夢中になる。その間、夫人はその客と一緒にいた。実は彼は夫人に以前から懸想していて、また口説く。それを見た主人は客に帰ってくれと言う。

その古書には秘密が書いてあった。邸そばの黒塔へ行く。そこには秘密の入口があって入る。しかし彼が入ってから石の扉は閉まり、閉じ込められてしまう。部屋の中にミイラのような者が座っていた。見つけた紙の指示とおりするとミイラは生き返った。その導きによってこの石室から脱出できた。

邸に帰り話を聞く。その生き返りは実は主人の先祖であった。何百年も前の昔。彼は錬金術師と知り合いになった。錬金術師は一度死んで長い間眠りに落ち、それから生き返る薬を作ったという。自分は年寄だからだめだが、試してみないかと誘う。最初は断る。愛する妻が死んだとの知らせを聞く。絶望した彼は飲む。そして今生き返ったのである。

驚くべきことに夫人は、生き返りがかつて愛した妻に瓜二つなのである。そのため彼はなんとしても夫人をものにしたいと思う。しかも彼は三日間しか生きられないと知る。

危険を察した主人は黒塔を爆破する。夫人を巡って生き返り、知り合いと争うことになる。最後は池端で知り合いは殺され、夫人を攫ってボートで逃げようとした生き返りは銃で撃たれ死ぬ。夫人は夫の元に帰る。

古城を舞台にした幽霊もどきが現れるなど典型的なゴシックロマンスであり、ゴシック映画と言えよう。

フィルムセンターで同時上映した「大聖堂の建築者」と同じ城の入り口部分が映り、同じ場所が撮影に使われているとわかった。