2019年7月13日土曜日

爽春 昭和43年

中村登監督、松竹大船、95分。
付き合いの深い二つの家族。一方は山形勲と娘の岩下志麻の二人だけの家族。もう一方は、有島一郎と森光子夫妻、子供として長女の生田悦子やその弟たちがいる。岩下や生田の恋と父親の関係を描く。

山形と有島は昔からの親友で、何回か店で酒を飲む場面がある。
生田は大学四年生、一度は一人で旅行したいと思い、その費用を友人の岩下に頼むところから映画は始まる。岩下はかつて勤めていた会社の課長に電話をかけ、そこの英文タイピストのバイトに生田を雇ってもらう。
生田がその会社に行くとアフリカ帰りの竹脇無我に会う。竹脇は生田を気に入り、求める。岩下は生田を紹介した課長と長い関係を持っていた。課長がイギリスへ行く前から関係があったが、行く際に別れると言った。長い不在に我慢できないからだと。課長はイギリスから妻を連れてきて子供もいる。岩下は課長の帰国後、元の関係に戻り情人として付き合っている。
娘たちの恋人との関係を知った父親二人は猛烈に反対する。映画の進行につれ、理解を示していくようになる。

この映画で一番気になったところは次のとおり。夫の外国赴任に妻がついていかないのである。岩下は課長と結婚してついて行けばそもそも問題が起きなかった。生田も竹脇が再びアフリカに赴任する間、待っていられるかの問題が出てきた。

この映画は昭和43年製作で外国赴任自体珍しかった時代である。その際は単身赴任が普通だったかもしれない。しかしその10年後に、自分の知りあいの男は外国に行く際、結婚して新妻を連れていった。別の例もあったが同様である。外国赴任で夫婦が別れて暮らす方がよほど少なかった。
そういう時代の変遷があったので、この映画自体の前提が全く時代遅れに思えた。だから映画自体を評価する前にそんなことばかりが気になった。

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