2019年7月7日日曜日

すべてが狂ってる 昭和35年

鈴木清順監督、日活、71分、白黒映画、川地民夫主演。

川地は不良グループの一員(当時ビート族と呼ばれた若者たち)で、母子家庭なのであるが、母親に反抗的である。それは母(奈良岡朋子)が仕事の上司である芦田伸介の世話を受けているからである。もちろんそうしなければ戦後、やっていけなかったのだが、屈辱的に思っている。芦田は何とかして川地と話し合おうとするが、川地は全く受け付けない。
川地らはアベックを襲ってカネを奪うなど犯罪行為さえする。川地は禰津良子と知り合う。素直になれない川地は彼女にも素っ気ないふりしかしない。恋仲になる。

グループの仲間の一人の女は妊娠する。相手はバーテンで稼いでいる学生で中絶の費用は出せないし、言わない。禰津に頼むが当てにできず、バーに川地を尋ねてきた芦田を誘惑する。逗子の別荘に連れて、オカネをせびろうと魂胆する。芦田は女を諭す。そこに川地が母親を連れてくる。下着姿の女と一緒の芦田を見て、母親にこいつの本性がわかったと勝ち誇る。逃げ出す川地、追う芦田。
川地と禰津を相手に説明する芦田、しかし川地は切れて、スパナで頭を殴りつける。殺したと思い逃げる二人。盗んだオープンカーのクラシックカーで逃走する。白バイが追ってくるように思える。スピードを上げて逃げると、向こうからのトラックに衝突する。

芦田が運ばれた病院では、あの女が流産していた。相手の男はドライなものである。
バーで新聞記者が記事にしようとするとそこのマダムがいい顔しない。だったらすべてが狂っていると題にしようかと記者は答える。

なおこの映画には吉永小百合が端役でほんの少しだけ出ている。いいとこのお嬢さんという役で、なくてもいい役だが、それでも配役一覧には最初の画面に川地、禰津の次に新人と但し書きつきで名が出ている。吉永はこの当時から扱いは良かったのだろう。

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