2018年10月17日水曜日

東洋の秘密   Geheimnisse des Orients/ Secrets of the East 1928

アレクサンドル・ヴォルコフ監督、ウーファ/シネ・アリアンス製作、103分、無声映画。

千夜一夜物語のような設定。カイロで靴職人をしている主人公は恐妻家で、怒鳴りつけられている。夜に来た客から革の帯の修理を頼まれた。その帯についている笛を鳴らすと、家中の者が回って踊り出す。更に笛を吹くとその回転は速くなる。踊り疲れて倒れてしまった妻たちが起きる前に男は家から逃げ出す。

某王国では隣国との戦いに勝ち、凱旋行進が行なわれている。捕虜として連れてこられた敵国の王子は立派で王女と、王の愛妾が共に恋をする。
戦勝に貢献した将軍は褒美をきかれると、王女が欲しいと言い出す。王女は不快である。王は星占いに王女の婿として誰が適当か占えと命令する。別国の王子が宝物を積んだ船で王女に求婚に来るという手紙を星占いは先に読む。そこに満月の日に来ると書いてあったので、王に満月の日に婿が決まるという。戦費で国庫が払底している王国としては僥倖である。

あの靴職人は家を出、砂漠をさまよい、ある国に着く。そこで出航しようとしている船に潜り込む。海上で見つかり、船員たちに追いかけられ、ひっくり返したランプで船は炎上沈没する。靴職人は河馬の上に乗って海岸に辿り着く。そこには王様や家来が沢山待っていた。すっかり姫に求婚するために来た他国の王子と、靴職人を勘違いしてしまったのだ。
靴職人は星占いに自分は王子でないと打ち明けるが、そんなことしたら二人とも死刑だと脅し、王子で通すようにする。

相思の王女と囚われの王子、横恋慕する愛妾は王子を自分のところへ寄こすが、王子は見向きもしない。王女が欲しい将軍は無理やり王女をさらうが、一旦逃げ出した囚われの王子は矢で将軍を殺してしまう。再び王子は捕まる。靴職人の偽王子は王に問われ、駱駝一万頭が宝を積んでやってくるという。王は王女とこの偽王子の結婚をさせようとする。
ここで宴会の場面になるのだが、ここだけそれまでの単色から総天然色になる。大勢の女性による踊りが披露されるが、衣装は頭に白いターバンのような帽子をかぶり、身体はビキニの水着、それも金色である。ここで靴職人の偽王子は勝手な発言をし、星占いを冷や冷やさせる。

靴職人は王女と囚われの王子が相思の仲と知ると二人を結婚させようとする。自分が星占いに変装し王子を逃がし、王女も一緒に逃がそうとする。あいにく二人は王の家来に捕まってしまう。逃げた靴職人を砂漠で駱駝の行列を見る。ここで盗賊どもの争いから、たまたま靴職人の乗った駱駝の尻に当たり、その駱駝が動き出すので他の駱駝もぞろぞろついて行く。

その頃、王子と星占いは処刑されようとしていた。そこへ駱駝の行列を率いた靴職人がやってくる。てっきり約束の駱駝一万頭と思った王は処刑を中止させる。靴職人は王に王女と王子の結婚を認めさせる。しかしそこへ手紙を携えた使者が来る。それを読んだ王は靴職人の正体がわかり、靴職人と星占いを縛り首に命令する。最後の願いとして靴職人が笛を吹かせてくれと頼み、承諾され吹くと全員が回って踊り出す。宮殿までも回り出す。
と、目が覚める。靴職人は元の自分の家にいたのだ。夢とわかる。怖い妻が怒っている。笛を吹いても無駄である。そこへあの修理を頼んだ客が来て革帯を持って帰る。

国立FAのパンフレットによれば大胆なアールデコ様式の美術とあり、宮殿などガウディ建築のようにも見える。
題や中間字幕は凡て英語であった。

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