『砂の本』(原著は1975年刊行)は短篇集で、実に不思議な話群からなる。自らの若い時の分身に会う話、あらゆる人間を代表する世界会議という組織、砂の本という無数のページから成る本など、どの話をとっても初めて読書するような新鮮な気持ちにさせる。極めて感慨深い書物である。
併収の『汚辱の世界史』(原著初版1935年、増補1954年)とは、世界の悪役を述べた評伝である。取り上げられている人物はビリー・ザ・キッド以外知らない人、と思ったら吉良上野介がいる!しかも我々日本人が読むと間違いが多くて驚かされる。二度驚かされる。
ボルヘスは1986年まで生きた巨匠だから教えてやれば良かったのに、と思ってしまう。もっとも教えた人がいたかもしれないが、本篇はそのままにしておいたかもしれない。
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