2018年10月11日木曜日

レスコフ『魅せられた旅人』岩波文庫、木村彰一訳 1960年

原作は1873年発表。
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船中で修道僧が、船客にその一生を物語る。農奴の子として生まれ、馬の目利きと操縦に関して抜群の才能を持っていた。その才をもって元の屋敷を飛び出し、様々な冒険をする。ともかく後先考えず、不法なことまでやり、韃靼人の捕虜生活も長く送る。

最後は、仕えた公爵が手に入れた魅力的なジプシー女を妊娠させ放り出す。その女に同情するが殺してくれと頼まれ、川へ投げてしまう。それ以来、その女のことが頭から離れず、軍隊で危険な任務に着き死ぬつもりでいたが、かえって昇進する。軍役を退いた後、僧院に入る。

主人公は無鉄砲で楽天的と言えば言えるが、最後の方のジプシー女に同情するところなど、善意の人とわかる。
現在の日本の平均的な者には考えられない人生が描かれている。

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