林長二郎デビュー翌年の映画。林が江戸から帰藩し、城を見ている。そこへ兄及び同士が来る。藩が危ういなどが聞かされる。しかし林が一番気にしているのは、許嫁の娘である。
登城し藩主に対面、挨拶する。驚いたことに許嫁が藩主の側室となっている。すっかり気落ちする。兄は藩主の要望でなった、もうかつての許嫁は死んだと思えと諭す。林の様子を見た、陰謀を企む家老は、自分たちに林を取り込もうとするが林は断る。
悪家老は家来の忍者隊を使って林を亡き者にしようとするが、林は退ける。
林がかつての許嫁を思い、笛を吹く。その間、あの忍者隊が城の石垣を上り、侵入しようとする。それらも侍が退治する。明くる日、林宅へ城の侍たちが来る。なんと林が笛を吹いていたので、城への侵入者と思い込んでいるのである。弁解するが強硬な侍たちの前に、病気で臥せっている兄がはい出てきて、腹を切る。
悪家老は藩主を亡き者とするため、毒酒を新しい側室から藩主に飲ませようとする。その際、藩主の危機を感じた林は遠くから城へ駆けつける。間一髪間に合い、家老は企みを見破られ、林を斬るよう家来に命令する。立ち回りがあり、悪家老も成敗する。
藩主は林に感謝し、褒美をとらせようとする。林はかつての許嫁を望むが、藩主は怒る。林は藩を去ることにする。かつての許嫁は、以前、林を匿ったと告白し蟄居させられていた。彼女は自害し、その遺髪を林は藩を去る際、渡された。
随分設定や展開に無理がある映画である。一番納得がいかないのは、最後に許嫁が林と一緒になれず、自害してしまうことだろう。時代劇なら功績のあった林と一緒になるべきではないか。現実的には、藩主は自分でなく以前の男を慕っていた側室を許せなく、その男に呉れてやるつもりがなくても不思議でない。しかし映画である。あるいは戦前の観客はこういう悲劇を好んでいたかもしれない。
殺陣が後年のものとかなり違う。観ていて面白かった。
一番困ったのは、中間字幕が結構長い、字もあの独特な字体である、それで読み取れないのである。封切当時の観客は字幕など見ず、弁士を聞いていたのでそれでよかったのだろう。英語の字幕が下に出て、そちらの方がわかりやすかった。正直、外国に観せたくなるような映画ではない。
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