著者は神道の特徴と言えば「ない」宗教だという。つまり教祖も教義も経典もない。今では神社があるが昔は神社などなく屋外で儀式をしていたという。だから元々宗教建築もない。
仏教が古く日本にやってきたが、神道と異なり仏教はなんでも「ある」宗教である。開祖も教義も膨大な仏典もあり、専門家である僧侶がいる。仏像や寺院がある。ことごとく神道と異なり、だから衝突もせず長年共存できたのである。日常の生活では神道は誕生や成人式、結婚式など一生の間の行事に関係し、仏教は葬式や法事など死後の世界に関わりあう。そういう意味で棲み分けが出来、これまでやってこられた。書名にあるなぜ神道には教えがないのかという点に関しては、開祖がいないからその開祖の教えがないわけで、教義が生まれるはずもない。何もない宗教だから、世の中が変わって経典にある古い習慣や常識が現代では齟齬をきたすという欠点も免れている。こう考えると何もない宗教は悪いばかりではない。
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