商社員の皆川という主人公が過去のエジプトと現代の東京で情人を持つ。東京では二人、東京から過去のエジプト駐在時を回想する。時間が前後し、東京とエジプトの場面が輻輳する。エジプトは昭和31年、ナセル大統領がスエズ運河を国有化し、イスラエル、英仏との戦争となった当時、皆川はそこにいた。エジプト人のファリダと情人関係だった。戦争が起きたので逃げろというのにファリダは家族共々、戦争に参加する気でいる。皆川は敵を阻止するための作戦に志願した。
東京では服飾デザイナーの美奈子と関係を持ち、更に店員の偲という女とも情を通じる。後に偲が妊娠する。美奈子は偲を田舎に帰すという。思い出の中のファリダは戦争で死んだはずである。
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