2024年7月22日月曜日

ウィルキー・コリンズ短編選集 2016

以下の5編を含む。

アン・ロッドウェイの日記/運命の揺りかご/巡査と料理番/ミス・モリスと旅の人/ミスター・レペルと家政婦長

夫々の作品の概要は次の通り。『アン・ロッドウェイの日記』では針仕事をしている語り手は、年少の針子が死体となって見つかり、その原因を探る。女探偵物と言えるかもしれない。『運命の揺りかご』ではイギリスから豪州に向かう船の中で、ほぼ同時に出産があった。その新生児二人がどちらの親の子か、分からなくなった。どうやって判別するのか。船長の采配によったが、成人した一人の回想の形の話。『巡査と料理版』は語り手の若い警官が、料理番の通報によって殺人現場に駆け付けるところから始まる。犯人は誰か。これは『英国古典推理小説集』(岩波文庫、2023)所収の『誰がゼビディーを殺したか』と同一の作品。初め誰が・・・の題名で発表され、後に本書の名に変更したという。『ミス・モリスと旅の人』は語り手が、町に来て道に迷った男に会う。その後、かなり経ってから再会する。『ミスター・レペルと家政婦長』は親友二人の男がイタリアで観劇し、その劇のような運命に後年見舞われる。同じ異性への恋情をどう解決するのか、また自分の思い込みと実際の違いなど工夫をこらした作品。(北村みちよ訳、彩流社)


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