ウェイ・ダーション監督、台、第一部「セディック・バレ 太陽族」144分、第二部「セディック・バレ 虹の橋」133分。昭和5年に台湾の霧社で起きた殺戮事件とその後の討伐という歴史を元に制作された映画。
霧社は台湾山中の地域(部落)で、ここに日本人が住み、その日本人等が通う小学校が襲撃され130人以上の死者を出した事件。日本の植民地となってから日本人が住むようになり、学校や駐在所などがあった。元々の住民である山岳人のうちセディック族が住んでいた。日本の支配により仕事等が命じられていた。きっかけは駐在の日本人警官がセディック族に暴言を吐いたためという。以前より日本人への反感があった族はこれを契機として日本人の小学校で開催される運動会の日を選んで襲撃した。130人以上の児童や保護者などが殺された。日本軍は討伐を組織し、日本の軍隊だけでなくセディック族と抗争中の他の山岳族も協力した。台湾の山岳民族は元から互いに抗争していたのである。これでまず討伐は終わったが、その後、降等したセディック族を敵方の族が多数殺害した第二霧社事件という惨事も起きた。
映画は事件に至るまでの日本人に支配されているセディック族の様がまずあり、小学校襲撃では女子供が多数殺されたはずであるが、男を殺す場面がほとんどである。事件が起きて後、日本軍は討伐に出るが、セディック族に散々やられる。この映画を見ている限り、日本の軍人が殺される場面がほとんどで、セディック族がやられる場面はあまりなく壮烈に描かれる。セディック族は銃の名手揃いで百発百中である。日本軍はバタバタと倒される。この調子で進むと台湾全土の日本軍がやられてもおかしくないように見える。もっとも最後に頭目が、日本軍に降伏するか自殺せよと命じる。最後の経過は説明的に描かれる。頭目は行方不明になり、その遺体が後に発見される場面がある。映画では第二霧社事件は全く扱っておらず、専ら見ている限り、いかに日本軍が無能、役立たずであったかを描き、これでは後の第二次世界大戦に勝てる筈もない。
霧社事件は戦後、日本が負けてから抗日英雄的事件とされたが、伊藤博文を暗殺した安重根のような反日反植民地を主目的とする事件とは違うではないか。もちろん植民地化は良くない。結果的に見れば反日事件だが、セディック族はそこまで社会思想的な意図をもって行なった事件には思えない。
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