2023年4月21日金曜日

大阪圭吉『とむらい機関車』創元推理文庫   2001

戦前の推理小説家、大阪圭吉は若くして亡くなった(明治45年生、昭和20年死)。それでも現代まで読み継がれている。本格推理小説家として評価されている。創元推理文庫から大阪圭吉の代表的短篇を集めた集成が2冊出た。『とむらい機関車』と『銀座幽霊』である。

『とむらい機関車』の書名になっている小説は、機関車が何度も豚を轢き殺すという奇妙な事故が起きる。その謎はある不幸な女の仕業と最後に判明するが、現在ならちょっと考えられない要因があった。また『デパートの絞刑吏』は今となっては懐かしいデパートの屋上のアドバルーンが出てくる。この他収録されている小説はいずれも設定が奇抜であり、感心させる出来栄えである。最後に収録されている『坑鬼』は炭鉱を舞台にした作品。事故が起こる。生死不明の者がいる。その後、不可解な死亡事故が起こる。一体どうなっているのか。推理小説としての謎が解き明かされる。それに無理が感じられても推理小説なんてみんなそんな物であろう。

もう一冊『銀座幽霊』と題された集成も奇抜な短篇が収録されており、感心する。

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