哲学者、中島義道が考察した差別感情の本質、心理である。誰でも差別はいけないと思っている。ただ時として差別を否定する立場からの言葉狩りや、差別している者を攻撃する態度に、何となく同意できない気持にもなる。
本書では差別という人間感情を冷徹に解剖している。それが冷たくて個々人の対応としては現実的でないような気さえしてくる。しかし哲学なればこそ、徹底的思考が要請されるのであろう。哲学は常識を豊かにするものではない。むしろ常識に疑問を投げかける学問である。いや常識を否定する場合が珍しくない。
差別の問題のように極めて日常的な問題への哲学の理解の仕方に違和感しか覚えないのなら、あまりに自分に対して無自覚、常識という多数意見に属しているのだから何も問題ないとして、何も考えていないのではないかと思われる。
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