今村昌平監督、松竹、140分の映画。緒形拳主演。原作は佐木隆三の小説。
昭和38年に起こった西口彰による連続殺人事件を基にした作品。
映画は犯人を演じる緒形が捕まり、本部が置かれた警察署に送られる場面から始まる。警察での訊問を受け、過去の回想になる。
犯人の実家は五島列島のキリシタンで、父親は三国連太郎が演じる。緒形は倍賞美津子を妻として迎えていたが、刑務所住いの期間が長く、舅と嫁は深い仲になっていた。
福岡で専売公社の2人を殺害し、その後、緒形は東に向け逃走する。詐欺をかなりやる。
浜松に着き、旅館に大学教授と名乗り宿泊する。その女将が小川真由美である。小川の母親は刑務所帰りだった。東京へ行き、詐欺を働くほか、弁護士を殺した。浜松に戻る。
緒形の犯行は全国的に知れ渡り、ポスターがあちこちに貼ってある。旅館の小川も母親も緒形が殺人犯と気づく。緒方は小川も母親も殺し、旅館の品を質屋に入れ現金を入手しようとしていた。
実際の事件を追って映画は進む。最後の逮捕のきっかけとなった、熊本の温泉で少女が気づいたという挿話は映画になっていない。
再見で、緒形と父親の三国が衝突する場面はあまり記憶になかったので、認識を新たにした。緒形演じる犯人は理由もなく殺人を繰り返す犯人である。まだこの当時は、殺人にはそれなりの理由があるという考えが一般的だったので、そういった観点からの批評がある。現在の我々は連続殺人に理由などない場合が珍しくないと知っている。
そう思うとある意味、結構時代を先取りしていた殺人事件の映画に思えてくる。
0 件のコメント:
コメントを投稿