2020年7月6日月曜日

ツルゲーネフ『アーシャ』 Aся 1858

語り手はドイツの町で、ロシヤ人の兄妹に会う。妹はアーシャ(アンナの愛称ではアーニャが多いが、ここではアーシャと呼ばれる)という。語り手は観察して本当の兄妹か疑う。

兄からの話で実際の兄妹と分かった。しかし腹違いで、やや特殊な人生を送ってきた。
語り手はアーシャに惹かれていたが、変わった子であり少なくとも妻にする気はなかった。兄からアーシャが自分を好いていると聞かされる。アーシャと語り手は一対一で会う。
その際、語り手はアーシャの兄を通じたような態度が理解できず、結婚の相手でもないと思って別れなければいけないと言ってしまう。
明くる日、兄妹は何も残さず町を発った。語り手は自分がアーシャを愛していると気が付き、その後あちこち兄妹を捜すが、見つからないままに終わる。

ふとした理由、例えば弱気とか見栄などで相思の相手を逃してしまい、それで終わったという経験は多くの者が持っているだろう。そういう恋を描いた小説である。
明治時代に二葉亭四迷が『片恋』と訳し、その後も使われる場合がある。
佐々木彰訳、世界文学全集第38巻、講談社、1975

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