2020年7月28日火曜日

末木文美士『日本思想史』 岩波新書 2020

歴史的は飛鳥・奈良・平安初期から現代に至る日本の思想を対象とする。第一章では「日本思想史をどうとらえるか」として、本書の方法論を述べる。

王権と神仏の対照、また学芸と生活を対照して日本思想をみていくとしている。時代的には前近代と近代と戦後に分ける。本書では夫々、大伝統、中伝統、小伝統と呼んでいる。このように明治以降の期間を、近代と戦後に分けるように意識的に取り上げている。

思想史だからと言って、仏教、儒教などの専門家、更には明治以降で言えば学者の思想の説明だけを書いているのではない。本書では社会背景を、思想に関する限りでかなり詳しく書いている。そこの部分は歴史と言ってよく、歴史書と銘打つ本よりも面白く読めた。思想の取り上げ方について評価できる立場ではないが、読みやすい本である。また近代以降では、社会背景として風俗の解説しているところが結構ある。これは知らない事項を教えられるところが多かった。

素人が概観を得るためには、本書のような新書といった形で出してくれるとありがたい。

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