2024年6月5日水曜日

三島由紀夫『夏子の冒険』 昭和26年

主人公の夏子はブルジョワの若い女で男からは大いに好かれるが、関心を持てる男はいない。いきなり修道院に入ると言い出す。

函館の修道院に入るべく北海道に向かう途中で、ある若い男に出会う。その男には今まで他の男にない魅力を感じた。聞いてみると復讐で熊を撃ちに行くという。復讐とは以前男が結婚する予定だった女が、熊に襲われ殺されたからだ。すっかり男に参った夏子は修道院に入るのは止め、男に付いていくと言い出す。男もやむなく承諾する。また突然の夏子の決心を聞かされた母親、伯母、祖母は夏子に会うべく北海道を夏子の後を追う。男の友人の、新聞社に勤める若い男を派遣させ夏子を連れて来させようとする。母親ら三人の女がいる家に件の熊が襲ってくる。待っていた男ほかの狩人は熊を仕留める。男の銃の弾が熊の心臓を撃ち抜き、復讐を果たした。

母親ら三人の女は男を見て夏子の婿にしてよいと判断する。しかし帰りの船で夏子は男にかつてのような眼の輝きが無くなったと思い、これまたいきなり修道院に入ると母親ら三人の女に告げて驚かせる。(角川文庫、2009年)

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