2023年1月8日日曜日

歌麿をめぐる五人の女 昭和34年

木村恵吾監督、大映、99分、総天然色映画、長谷川一夫主演。

同名の映画は溝口健二が田中絹代を主演にして昭和21年に作成されているが、こちらは34年製作の総天然色映画である。浮世絵師歌麿を長谷川一夫が演じる。
ともかく女にもてまくりで、長谷川がその女を浮世絵に描く、また刺青の下絵を描くとその芸者は人気が出るというので女たちが殺到する、というわけである。
それだけでなく長谷川が住む長屋の若い女、野添ひとみや絵のモデルになってもらう浪人の妻、淡島千景にも純粋な愛情を抱かれる。五人の女とは野添、淡島のほかは山本富士子、中田喜子、淡路恵子である。正直、淡路恵子や山本富士子などたいして出番はない。春川ますみの方を五人の女に入れたほうがいいくらいである。
途中、外人相手の接待見世物として池の鯉を捕まえる競技をする。多くの女たちが腰巻一つで池に飛び込む。上半身は髪で隠すが基本裸なので、当時の映画としても見せ場だったのだろう。
長谷川は名声が高くなり、大名からお抱え絵師として所望されたが、長谷川は断る。自分は町の絵描きで町民のために書きたいと言う。これで長屋の住人らはやんやの喝采となり、祝いの宴会が開かれる。その最中、やって来た無頼漢どもが長谷川の右手を石で叩き潰す。
野添ひとみは大家から嫁と所望され、玉の輿に乗ったと誉めそやされる。内心は長谷川を好いていたので嬉しくない。長谷川と淡島の逢瀬を目撃して、それで結婚を承諾する。嫁入りで相手の家まで着くが泣き出す。付き添う祖父に長谷川が好きだったと告白する。驚く祖父はだったら長谷川のところに行けと言い、結婚直前に逃走する。それに大名行列等、巻き込まれ大混乱になる。長屋に戻ると長谷川が旅立つところだった。もう右手は仕えないというと野添は自分が右手になると言う。
遠景からの撮影が多く、舞台を映しているようだ。大写しはほとんどなく途中で野添の顔を大きく映されるくらいである。せっかく作った長屋等のセットを総天然色で見せたかったからか。

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